ΦBrain
□ノノハスイーツ
2ページ/4ページ
「ノノハさん!」
声をかけてきたのは、この前女男女混合のサッカーの試合に助っ人として参加した時のサッカー部の男子だった。
「この前はありがとう、すごく助かったよ!」
「いやいや、こちらこそ誘ってくれとありがとう。楽しかったよ!」
「よかった!…って、それマフィン?」
サッカー部の子がマフィンに気づいた。
「ノノハさんが作ったの?」
「うん!だからちょっと不格好だけど。」
「そんなことないよ!…ねぇ、一つもらっていい?」
「え、こんなのでいいなら…」
「ありがとう!…わっ、めちゃくちゃうまい!」
そんなに笑顔で言われたら、さっきまでの落ち込んだ気持ちもどこかへ消えていきそうだ。
「ノノハさんのお菓子は上手いって噂、本当だったんだ!」
「そ、そんな噂があるの!?」
「結構、話題になってるよ!…あ、俺そろそろ行かなきゃ…。」
「じゃあ、部活がんばってね!」
「おう!…あ、俺がノノハさんのマフィン食べたのみんなには内緒ね。」
「え、なんで?」
「他の奴がうらやましがるし、このマフィンすっげー上手いからみんなには内緒にしときたいの。…じゃあ、またな!」
そう言って、部活に向かっていった。
捨てるはずだったマフィンをあげたなんて失礼だったし、
あんなに喜んでくれるなら、また作ってこようかな…
と考えていたら
横から、手が伸びてきてマフィンを一つ掴んだ。
その手の主は、さっきまで壁に隠れながら聞いていたカイトだった。
「え、カイト?!」
「………。」
無言で、手にしたマフィンを食べる。
「ちょっと、どうしたの?」
「………うるせー。」
「無理して食べなくていいよ?」
「…うるせー。」
そういってカイトはマフィンを食べ終わった。
あんなに嫌がってたのに…。
どうしたんだろうと逆に心配になる。