ぬら孫
□鯉しくて
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ねっと若菜が微笑むと、さっきまで不安いっぱいの鯉伴に笑顔がみえた。
「帰りたいっていっても帰さないぜ?」
「私の帰る場所は鯉伴さんのとこです。」
「若菜…。」
「これは、私だけが使える言葉なんです…。
私はいつも"鯉"しく想っています。」
「…ありがとう、愛してる、若菜。」
「私もです。」
ぎゅっと抱きしめあった二人はとても幸せそうに笑っていた。
「…あら、眠ってたかしら。」
目が覚めたら、もう夕方になっていた。
「懐かしい夢…。」
幼いながらも、素直に伝えようとした想い。
今は亡き、愛しのあの人へ。
「今も、そしてこれからもずっと…鯉しく想っています。
鯉伴さん。」
同調するように、庭の桜の木が揺れた。
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