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□手編みマフラー
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「最近、どんどん寒くなってきてるよね…」
帰路を歩きながら、ふと天馬がこう言う。日本も、そろそろ冬に近付いてきているのだ。
「あぁ…冬が来るんだな」
溜め息っぽく息を吐き出せば、案の定温かい息は冷たい空気の中で白く消えていった。
「剣城はさ……」
「ん?」
「ううん、何でもない…」
何もないと否定する彼を詮索する事はせず、俺達は分かれ道でそれぞれの家路に向かい別れた。
「は……??休み?」
「そうなの、どうしたのかしら?」
「朝の練習にも来てないんだよね…」
翌日、彼のクラスを訪ねると彼は休みだと空野、信助らに言われた。
遅刻、いやそんな事はないだろう。
河川敷での朝の練習を信助と二人でしているのは俺も知っている。だけど今まで朝寝坊なんて事していなかった。
………何かあったのか?
「あっ!ちょっと、剣城!!」
嫌な予感がして信助の声を背中に俺は学校を出た。
*