童話のパロディ
□Happy ever after
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ここは、夢と魔法の生きる世界。
僕が恋したのは、王子様を夢見る女の子。
意地悪な継母と姉たちに、家事を押しつけられてる。
毎日毎日、汗や泥や灰にまみれがら、それでもその子は王子様に会えるって信じてる。
おこづかいなんか当然もらえないから、その子はドレスを買うために、ときどき僕の家へアルバイトに来る。
毎日毎日つらいはずなのに、その子は僕が話しかけると笑ってくれる。
他の魔法使いみたいに、お城仕えもしないで、病気に効く薬や、作物を育てたり、失くし物を見つけるまじないで生計をたててる僕を、皆は、変わってるって言うけれど、その子は薬やまじないを、スゴイと言って褒めてくれた。
ある日、王子様の花嫁を選ぶ為、お城で舞踏会が催されることになった。
女の子は貯めていたお金を使って、ドレスと靴を買った。
とても嬉しそうに僕に話してくれた。
けれどその子は、舞踏会へ行けなかった。
意地悪な姉たちが、その子のドレスを破って、靴と一緒に、暖炉の火の中に入れてしまったからだ。
一人庭の隅で泣いている女の子に、僕は魔法をかけた。
輝くドレスに、透きとおったガラスの靴。
女の子は、可愛いお姫様になった。
「楽しんでおいで。12時になって、魔法が解けてしまうまで」
馬車に乗って、お姫様は舞踏会へ出かけていった。
僕は、寂しかった。