ムーンナイトに華を
□プロローグ
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大日本国の中心部、帝国ミュンヘル。
そこにそびえ建つ城、ディアナ城。
そのディアナ城門前に、7人の男がいた。
彼等は、月騎士(ムーンナイト)と呼ばれる、この国の女王の直属部隊であった。
その月騎士の白騎士、黒騎士、赤騎士の3人が今まさに城を去ろうとしていた。
その理由は、今年から3年間ある高校に通うことになっているから。
彼等はもう7年ほど前にとっくに大学を卒業している。
それなのに、今更高校に通うのにはとある目的があった。
まあ、その目的はあとあと分かってくるだろう。
話を戻して、彼等3人、そして3人を見送る為に門前まで来た他4人の騎士。
、計7人の会話からこの話は始まる。
「本当に、行くんですか?」
そう、寂しそうに3人を見つめるのは月騎士最年少の炉井(ロイ)である。
まるで捨てられた仔犬のような目をして3人とのしばしの別れを惜しんでいる。
「あんまり引き留めてっと、嫌われるぞ。」
そう言って、慰めるように炉井の頭を優しく撫でたのは、月騎士最年長の斎牙(サイガ)。
口には出してないが、斎牙も彼等との別れを寂しく思っていた。
「頑張ってくださいね。」
しっかりとした口調で彼等を見送るのは、炉井の次に年少の剣(ツルギ)。
笑顔で見送ろうとしているみたいだか、やはり寂しそうである。
「......。」
無言ながらも、普段は忌んで閉じられている瞳をしっかり開けて、ただ1人を見つめているのは、月騎士で唯一色を持たない色無騎士の神無(カンナ)である。
何か言いたげに、神無は彼、悠里(ユウリ)を見つめ続けている。
4人を困ったように笑いながら見ていた悠里は、神無の視線に気付きそちらへ目を向け、そして、
「神無。」
優しく包み込むような暖かい声で神無の名前を呼んだ。
呼ばれた神無自身は、まるで悠里に吸い寄せられるようにして彼のもとにてくてくと歩いていった。
側に来た神無の頭を優しく撫でながら、悠里は言った。
「姫と城を、頼むな。」
こくりと、神無は頷き、それを確認したあと悠里は城に残るほかの3人を見て、
「じゃあ、行ってきます。」
そう言って、共に行く2人と一緒に歩き出した。
後ろから聞こえた、4人分の「いってらっしゃい。」に見送られながら......。