短編小説

□思い思われ
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三農 海良 ミノウ カイラ  side



俺の好きな人はよく笑う
周りを笑わせたり自分自身がたくさん笑うんだ
それは授業中でも変わらない
周りと喋れない分、隣の奴だけに笑いかけるんだ
それがどうしてもムカつく

「あはは…そうなんだ………」

たまに聞こえる君の声
その度に胸が締め付けられるんだ…
それに君は誰にでも優しいから…

「どうしたんだ?元気ないじゃん…なんかあったのか?」

誰にでも向ける笑顔で俺に聞いて来るんだ
嬉しく思うのと同時に悲しくもあるんだ

――俺だけに見せて欲しい…

貪欲な心が俺を支配する

「別に…風邪引いただけだよ」
「そうなんだ…お大事にね?」

やっぱり俺はアイツのことが好きだ
誰にも渡したくない…
でも、俺の友達も……

「やっぱりあいつ可愛いよなぁ…つきあいてぇわ」
「…お前には渡さねぇよ……絶対にな」
「はっ…俺も負けねぇよ」

そう言って別の場所に移動していった
きっとアイツの近くにいる気だろう

「ねぇねぇ!!一緒に勉強しない?」

いきなりのことで何がなんだかわからなかった

「…どこでやんの?」
「近くの公民館!もしかして無理…?」

少し不安そうな顔で聞いてくる
誘っているのか?と言いたい顔だ

「あぁ、別にいいよ…暇だしね」
「よかった!じゃぁ他の人も誘ってくるね」

そういって仲のいい子達を誘い始めた

「……二人っきりなわけないか…」

やっぱり…

「あの笑顔が俺のモノになったらいいのに…」

――…そうすれば安心なのに……



君に思いを伝えたいのに…

声に出して君伝えたい

俺にだけ笑いかけてくれよ

誰か俺に勇気を頂戴…

アイツに、高菜に伝えられる勇気を…
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