長編

□05
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この学校に入学して、もう1ヶ月がたった。
学校のことも部活のことにもだいぶ慣れてきた今日この頃。
充実した毎日を送っている私には、最近気になることがある。



「(あ…)」



お昼休みにたまたま見つけた可鈴先輩と翔先輩。
あの2人はかなり仲が良いと思う。よく一緒にいるところを見るし、この間も2人で下校してたし…
もしかして私が知らないだけであの2人は付き合ってるんじゃ…?
そう思うと、なぜか心臓がチクリと痛んだ。



「(なんでだろう…)」
『あれ、千鶴!なにしてんのー?』



ボーッと立っている私に気付いたらしい可鈴先輩が声をかけてきた。



「先輩、こんにちは。」
『あっ、もしかしてあたしに会いにきてくた?ごめんね千鶴あたし千鶴の気持ちにもっと早く気付かなくて!』
「絶対違うと思うんだ」
『なんだとこらァ』



そんな事を言いながらふざけあう2人。
私は思わずさっき考えていた疑問を 口に出していた。



「あの、もしかしてお2人は───」
『あ、気付いた?ていうか言ってなかったっけ。』



やっぱり付き合ってるんだ…
そうだよね、あれだけ仲が良いんだし…



『実はあたし達───』



その先は言わないで。
頭では分かっているはずなのに、本人の口から肯定されてしまうと思うと、なぜか耳をふさぎたくなった。



『兄弟なんだよね!』
「……え…?」



予想していなかった言葉に、私は思わず聞き返していた。



『え?千鶴もそう言いたかったんじゃ…』
「い、いえ、私はてっきりお2人が付き合ってるんじゃないかと…」



私がそう言うと、2人はきょとん、とした顔をお互い見合わせてから、盛大に吹き出した。



『あっははは!!あたし達が恋人…っ!?』
「ダメだ俺もう腹痛い死にそう…っ」
「そ、そんなに笑わなくったって…」



私は真剣だったのに。



『ごめんごめん、まさかあたし達がそんな風に見えてたなんて…』
「確かに俺ら似てないけど!」



笑いすぎて涙目になっている2人。
それにしても2人が兄弟なんて…似てないなぁ…



「なんか、すいません…」
『いやいやっ!謝ることじゃないんだけどねっ!』
「あ、はい…そういえばお2人は苗字が同じでしたね」



そう、2人の苗字は共通して白石。まぎれもなくこの2人は家族だという証。



『そうそう、それにあたしは総司と付き合ってるからさー』
「(…よかった…)」



私は2人が恋人関係ではないと分かって、なぜかホッとした。



「(よかった…?なんでこんなに安心してるんだろ…)」




不思議な気持ち

(ちなみに翔は彼女募集中だから)
(うるせぇよ笑ってんじゃねぇ)


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