長編

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年が明けた。
元旦の今日、あたしと翔は初詣に来ていた。(父と母は寒いので車内で待機)



「なんで俺が…」
『うるさいよ翔。初詣は家族でって決まってるの!』
「あそこのカップルはなに」
『あれは兄妹!』
「兄妹は手ェつながねぇ!」



ぎゃーぎゃー言いながら、あたしはお詣りをしようとパンっと手を合わせる。



『みんなが第一志望に合格しますよーに!』
「今年もいい年でありますよーに。」
『なにそれつまんない。』
「毎年毎年、いい加減ネタ切れだっつーの。つーか、こういうのって口に出したらまずいんじゃねーの?」
『あ』
「あじゃねーよあじゃ。」
『まぁまぁ、次はおみくじ引こう!』



そう言ってたどり着いたのはおみくじコーナー。さっそく2人でくじを引く。



『…どうだった?』
「…末吉」
『…あたし中吉』



微妙な結果に、2人して苦笑いする。



『戻ろうか。』
「…おう」



あたし達はお守りを買って、両親が待っている駐車場まで歩く。



『…翔、』
「ん」
『今年も、いい年にしようね。』
「…おう。」



あたしがアメリカに行っちゃっても寂しがるなよ、という思いを込めて、愛する弟にお守りを渡したのだった。




新年

(…ってこれ恋愛成就じゃねーか。ケンカ売ってんの?)
(早く彼女つくれよ!)
(余計なお世話)
(とか言いつつちゃんと受け取ってくれるアンタが大好きだよお姉ちゃんは!)
(うざい)


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