短編
□これってさ、
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今日は月に一度の席替えの日。
クラスのみんなは楽しみそうにしているけど、私は正直複雑だ。
だって、密かに想いを寄せていた沖田くんとせっかく隣の席になれて、最近やっと仲良くなれてきたのに…
きっと、席が離れたらまた隣の席になる前のように、話すこともなくなるんだろうな。
そう思うと、私の口からはため息がこぼれた。
「どうしたの、ため息なんかついちゃって。」
『沖田くん…』
隣にいた沖田くんが声をかけてくれたけど、ため息をついていたのはあなたと離れるのが嫌だから、なんて言えるはずもなく。
『ちょっとね…』
なんて、はぐらかしてしまった。
沖田くんはそれ以上追及してこなかったけど、やっぱり切ないな。
そうこうしているうちに、クラス全員がくじを引き終わったらしく、みんなガタガタと席を移動し始めていた。
私も重い腰を上げ、新しい席を見ようと黒板を見た。
『(左から2列目の一番うしろか…)』
私は荷物を持って新しい席へ移動して、椅子に座った。
「ねぇ、」
私がうつむいていると、左隣から声が聞こえた。
その声に反応して顔を上げると、そこには…
『…沖田くん…?』
なんと、私の左隣の席には沖田くんが座っていた。
『どうして…』
「僕、ここの席なんだ。また隣だね。」
そう言って笑う沖田くん。私はうれしくて、その言葉に思いきり頷いた。
「…ねぇ、2回連続で隣の席なんてさ、」
運命みたいじゃない?
(…!!)
((本当は君と隣になりたくて、代わってもらったんだけどね。))
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