ゆるゆり

□今までも、これからも
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『きょうこ、たんじょうびおめでとう!』
『ありがとう、ゆい!』

『それでね?ぷれぜんとはなにがいい?』
『え〜っとね・・・じゃあ、これからもずっといっしょにおたんじょうびおいわいしてくれる?』


『それでいいのか?』
『うん!それがわたしにとっていちばんのぷれぜんとだよ!』
『わかった。じゃあやくそくするよ!』


こんな会話をしたのは京子がまだ泣き虫だった6才の誕生日だったと思う
それから8年がたった今、京子は強くなって今やクラスの人気者。

私も昔のようにやんちゃではなく、そんな京子を見守れるようにって冷静で大人しいタイプになった

すっかり変わってしまった今でも、あの約束は守られていて毎年ちゃんと京子とふたりで祝ってきた

もちろん今年も一緒に祝うつもりだ。だけど去年と違うのは、恋人になったこと
付き合って初めての京子の誕生日だから、何か特別なことをしてやりたい
まぁ、こんなこと私のキャラじゃない気もするけどな

結局悩んだ末に、ちょっと恥ずかしいけどペアのリングをあげることにした
独り暮らしを始めたころからお小遣いや余った生活費を貯金してきたから金銭面で困ることはまずない

それに今年は本当に2人っきりで祝えるのが嬉しくてたまらなかったりする

春休みに入って宿題も落ち着いてきたから、今日はプレゼントを買いに行きたかったんだけど・・・

ついさっき、電話が鳴って『1時に部室集合!』なんて言うものだから行くに行けず・・・


「京子、私今日ちょっと用事あるから先帰るな」
「え〜・・・用事ってなんだよー」

うん、まぁ。そうやって甘えて来てくれるのは嬉しいし可愛いんだけどさ

「ちょっと!京子先輩、結衣先輩から離れてください!」
「なんだよちなちゅ〜たとえちなつちゃんでも結衣はあげないぞ〜!」
「ちなちゅ言うなです!と言うより結衣先輩は私のです〜!」

あ、あはは・・・私はものじゃないんだけどな

「大事な用事だからさ、ごめんな京子。」

綺麗な金色の髪を撫でてにっこりと微笑む

「ちぇ。あ、でも!明日はちゃんと・・・!」
「あぁ、分かってるよ。忘れるわけがないだろ?」

私は鞄を手にとって立ち上がった

「じゃあ、みんなごめんね」「気にしなくていいよ、結衣ちゃん。気を付けてね」
「大事な用事なら仕方ないです。チーナ我慢します」

優しい後輩たちに手を振ってネットで調べておいたお店に向かう
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