みんな

□隠し味
1ページ/4ページ


がっしゃん!と大きな音を立ててボウルが床に落っこちる
「お姉ちゃん大丈夫!?」
「う、うん。洗ったやつだから平気〜」

へにょっと安心したように笑うお姉ちゃん
只今時刻は午前6時。
何故こんな早い時間にお姉ちゃんが起きているのか、それはお姉ちゃんもいっしょにお弁当を作っているからです
なんでも、梓ちゃんに作ってあげたいんだとか。
梓ちゃん絶対喜ぶだろうなぁ♪
おっと・・・私もちゃんと作らなきゃ!

「お姉ちゃ〜ん!次は玉子焼きだよ〜」
「憂の玉子焼きはおいしいよねぇ♪私も頑張らなくちゃ!ふんすっ!」
「えへへっ、一緒に頑張ろうね!お姉ちゃん」

実は、今日は純ちゃんのお弁当も作っています
いつも購買のパンとかで済ませてるしたまにはちゃんとしたお弁当も食べないといけないと思うのです
・・・というのは建前で、ただ純ちゃんにお弁当を食べて欲しいだけだったり・・・

「う〜い〜!この次どうするのー?」
「あっ!えっとね、2、3回に分けて玉子をフライパンに流して・・・」
「おっけ〜、んしょ・・・えっと、こんな感じかな?」
「うん!それでokだよ!」やっぱりお姉ちゃんは飲み込みが早いなぁ。
こんなこと言ったらまた純ちゃんに『憂はほんとに唯先輩大好きだよね』って苦笑いされちゃうかな?

「んっ!憂っ!ひっくり返せたぁ♪」
「ほんとだねっ!じゃあ、おだしと調味料を入れて・・・」
「ういっ!これで完成!?」

キラキラとした目で見つめられて思わずうん、と言ってしまいそうになるがぐっとこらえてにっこりと微笑む

「もういっこ、忘れちゃいけない隠し味があるんだよ?お姉ちゃん」
「隠し味?」
「うん。この玉子焼き、梓ちゃんに食べさせてあげるんだよね?」

私がそう言うとお姉ちゃんは照れくさそうにえへへ、と笑って

「うん。喜んでもらえるか分からないけど・・・」
それは、大丈夫だと思うけど・・・下手をすればきっと梓ちゃんはそのお弁当を写真を撮って『食べられません!』って言って永久保存しそうな勢いだと思うな・・・あはは
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ