みんな

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「お姉ちゃん!もう時間だよ!梓ちゃんとの約束10時でしょ?」

「ほんとだっ!うぅ〜・・・時間がないよぉ〜」

ばたばたと家の中を忙しなく走り回るお姉ちゃん。
今日は梓ちゃんのお家にお泊まりの日。
あまりにも楽しみで眠れなくて寝坊したらしい。


「ハミガキセット持った?下着持った?」
「うん、全部持った!」
「じゃあ、ほら、行かなきゃ!」

いざ出発。というところでチャイムがなる
私は慌てて扉を開く。

「あ、梓ちゃん!?」
「あ、えと。おはよ」

梓ちゃんの声を聞きつけお姉ちゃんが飛んでくる。

「あずにゃん!?」
「えっと、あれですよ!唯先輩のことだから寝坊でもしてるんじゃないかと思って迎えにきてあげたんです!どうせ、憂に起こしてもらったんでしょ?」

「あ、あはは」

「まったく・・・。ほんとに憂はできた娘だね」
「私憂がいなかったらとんでもないことになってたよね〜」

ちくり、

「そんなことないよ。お姉ちゃん、梓ちゃん、行ってらっしゃい」

笑顔で2人を送りだして鍵をしめ、ふぅっと扉に寄りかかる

「できた娘、かぁ・・・」

みんなから言われる言葉。『できた娘』『しっかり者』

本当は全然違うのに。
全然、そんなのじゃない。

しん、となった家に自分ひとりだけ。
なんだか泣きそうになった。

するとまた家のチャイムが鳴った。

「やっぱり何か忘れ物したのかな」

ガチャリと扉を開けると、そこに立っていたのはお姉ちゃんではなくて、純ちゃんだった。

「じゅ、純ちゃん!?」
「やっほー、憂」


どうしてここに、とか聞きたいことはあったけど、玄関で立ち話も失礼だから私の部屋に招き入れる。
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