薬売りさんとの旅
□出会い、そして、はじまり
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目があったのは一瞬だった
(綺麗な男の人…)
そして、私はまた歩き出す
(変わった格好してたなぁ)
けれどなぜかさっきの綺麗な男の人のことが頭から離れない
「もし。そこのお嬢さん」
急に声をかけられて慌てて後ろを振り返ってみると
「あ、さっきの…」
綺麗な男の人だ
「薬草を…少しばかり…頂戴したく」
ああ、そうかこの人は
「薬売りをやっておりまして」
だから私に声をかけてきたんだ
「そうですか、ですが…」
確かに私は大きな薬箱を持っている
そして真っ黒な下駄をはいている
この下駄は特別なもので普通の人は手に入らない
昔、ある人にもらったものだ
『この黒の下駄は影の目印だ。この下駄をはいている者は…』
そう、私は毒売り