菖蒲高校のアステリスク
□意地悪ジュリエット
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スパーンっ
「なによ!
引き止めてくれたっていいじゃないっ!!」
「いっ・・・てぇ―――」
オレの頬をぶっ叩いて、泣きながら走り去っていく彼女―
いや、『元』彼女の後ろ姿を、追いかける気なんてもうなかった。
・・・なんでこうなるんだろ。
どうしてオレが、こんな目に遭わなきゃいけないんだろう。
「はぁー・・・・・・」
・・・最近、ついてないなぁ。
* * *
「あー・・・。
ちょっ、これマジで痛い」
オレは笹本雷。
県下でトップレベルの偏差値を誇り、
金持ちのエリートばかりが集まる私立校、菖蒲高校の2年生。
けど、オレはほとんどの生徒とは違って、どっかの会社の御曹司でも、成金のお坊っちゃまでもない。
ごく普通の中流階級の家庭で生まれた、ごく普通の人間だ。
そんなオレが、どうしてこの高校に入れたのか。
・・・あのとき我が家には、幸運の女神が舞い降りていたから、としか言いようがない。