沖土

□初めは・・・(完)
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「土方さん。」
「なんだ…んっ!」
「キスしたかっただけでさぁ。」

何なんだ、と土方は最近思う。
沖田とはお互いがガキのころから一緒だ。さらに、互いの気持ちが通じあって付き合い始めてから1年ほどたつのだが最近の行動に土方は意味を見いだせないでいた。

「つか、お前非番なのは分かるがなんで俺の部屋にいるんだよ。俺は仕事中なんだが。」
「いや、することもねぇんで。」

ここ数日、沖田は必ず理由もなく土方の部屋にいる。
その他にもいつもくっついてきたり、一緒に風呂に入ったりと不可解な行動がよくあるのだ。

「おま…休みならどっかでかけるなりいろいろあるだろ…。ちょっと前まで万事屋んとこのチャイナ娘と遊んでたじゃねぇか。」
「あいつといると胸くそ悪くなる。」

別に恋人だから普通かも知れないが数日前は恋人にも関わらず得に優しくされることもなかったし、むしろ爆破が多くなるほどだった。

「お前数日前までそんなんじゃなかったのにどうした?」

土方は思い切って聞いてみたが別に、という素っ気ない返事しか帰ってこなかった。
そうして今日も暫くすれば自室へ帰っていく。あいつはなにがしたいんだ。







「はぁ…。どうすりゃいいとおもう?」

土方は沖田との関係をしっている銀時にこれまでのことをそのまま話して相談してみた。

「そりゃぁ…あれだ…言っていいのか…?」
「何でだよ。」

銀時の意味深な言葉に土方は首を傾げる。
銀時は暫し迷うと意を決したように顔を上げた。

「総悟君はヤりたいんだよ。」
「は?なにを?」
「なにって…ナニだろ。」
「…っ!?」
「顔真っ赤だぜ。」

銀時は土方に対してくつくつと笑っている。
当の本人はそれどころではなく、口をパクパクさせている。
そんななか、銀時の恋人こと志村新八がやって来た。

「銀さん。なにやってるんですか?」
「んー?土方くんの恋人がムラムるぁぐぁ!」
「余計なこというんじゃねぇぇぇぇ!」

土方は銀時に一喝して一発お見舞いすると急いで屯所の自室に戻った。

「ハァッ…ハァッ…」

自室に戻った土方は顔が真っ赤だった。
走って来たというのもあるが理由はそれじゃない。

「そういうことかよっ…。」

銀時が言っていたことが本当なら、土方は自分がどうすればいいのか分からなくなっていた。

「総悟が…俺と…。」

確かに、付き合って1年も経つのだから普通の恋人たちならそういうこともやるんだろう。
だが、土方たちは普通ではない。男同士という、同性愛という特殊な恋愛でいるばかりに、土方はそう言うものを避けていた。

「そろそろなのかもな…。」
「なにがでィ。」
「どぅわっ!そ、そそそそそそ総悟!?」

あからさまに驚く土方に沖田は少し嫌な顔をした。土方からすれば先ほどまで考えていたことが脳裏を過って顔が火照るのが分かる。

「なんでそんな顔を真っ赤にさせてやがんでィ。」
「い、いや別に…あ、いや…やっぱ…ある!」
「何でィ。」
「あ、あのさ…シよ?」
──言っちまったァァァァァ!

土方はそう思いながらも心の底では嬉しく思ってもいた。
沖田はそれを聞いて暫く固まっていたが直ぐに優しく土方を組敷いた。

「…念のために聞くんですがねィ…それはこう言う意味ですかィ?」
「それ以外になにがあんだよッ…んっ…。」
「そりゃあ、失礼なこと聞きやしたね。お姫様。」
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