沖土
□甘いあまい!(完)
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「けほっ…。今日の会議内容だが…────。」
その場にいる者全員が土方を心配した。
会議室はかなり暑いのに土方は顔は青ざめて微かに震えている。心なしか目は潤み、フラフラしていつもの覇気がない。
しかも咳をしているとなれば導き出されることは1つだけ。
「解散!」
「あんた、熱あんだろィ。」
会議が終わると共に誰もが考えていたことを一人の男が言った。
半ば呆れたように言うのは栗色のさらさらの髪に、赤い円らな瞳。まだ幼さを残すその人物は、一番隊隊長で土方の恋人のの沖田総悟だ。
「俺はそんなにヤワじゃねぇよ。」
「じゃあ聞きやすけど、あんた一年間にそうやって無茶して何回ぶっ倒れてんでィ。去年なんて5回も医者の世話になってんだろーが。」
そういわれてしまえば土方に反論は出来ない。
見かけによらず体が弱い土方は少し気を抜くとすぐに高熱が出てしまう。
そして、去年は色々と事件が多発し、それに加えて沖田ら一番隊の始末書などの書類を片付けて夜が明けるなんてことザラにあった。そのため、食事も睡眠も録に取らずに過ごしていた結果がそれだ。
「おっ、お前には関係ないだろうが!」
「なっ…。あんた俺が心配してやってんのに逆ギレですかィ?」
「あぁ、そうだよ!そうだって分かったらさっさといなくなれ!」
うわぁ、また痴話喧嘩かよ、とその場にいた誰もが思った。同時に、そんな甘い喧嘩は部屋でやってくれ、と独り身の隊士たちは考えてしまった。
「いなくなりやせん!」
「でもっ…ゴホッ…!」
いきなり咳き込んだ土方はそのままグラリと倒れ込む。
そんな土方に沖田はすかさずお姫様抱っこをして颯爽と副長室へと向かう。
「…心配かけんじゃねーやい。」
「総悟…すまん。」
「「「…寂しいなぁ…。」」」