海賊

□届け。
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「ゾロ」

キッチンに向かう時、名前で呼びかけられた。…コックに。


「何だ?」

おれも反応して振り返る。
すると、さっきナミを探していた時に持っていたおやつと同じ物を差し出された。

「何っておやつ。ん」

差し出されたおやつを受け取ると、コックはおれの隣で歩き出した。


「どうした?」


一言聞かれて、頭にはてなが飛ぶ。おれ、なんか変か?


「随分機嫌悪そうだけど」
「……っ!」


いや、まぁ機嫌悪いことは悪い。だって、そりゃ…


「何で機嫌悪ィんだよ、別にいいけど。おやつの皿は、キッチンに置いとけよ」


そう言っておれより先に行こうとしたコックの腕を、おれは掴んだ。




「…っ、痛ェ離せ」
「今、何で機嫌悪いか聞いたな。答えてやるよ」



おれはそう言ってコックにキスした。



「なッ……!?」


驚くコック。

そんなコックの肩に、頭を乗っけた。


「お前が女好きなのは、…それはもう病気みてェなモンだって分かってる。分かってるけど、やっぱりこっち見て欲しい。…届いてほしい」




おれの声も、……気持ちも。






「ゾロ…」


コックが肩からおれの顔を優しく上げた。



「届いてるよ、十分。お前の声も、気持ちも全部。これだけは迷わねェ、」


お前が好きなんだ。




柔らかい笑顔で言ったコックに思わず見とれてしまった。






「……しっかし、お前が嫉妬?キャラじゃねェな〜」

くくくっと笑いだしたコック。
キャラじゃねェことぐらい分かってらァっ!


「うるせっ!てめェだって嫉妬ぐらいするだろ!」
「くくっ、まァな」


む〜。
相変わらず腹たつぜ!




でも、



「コック……おれもお前の事が好きだぜ?」

そう言って笑いかけてやると、コックは赤面して何も言えなくなる。




あぁ、
そんなてめェにおれは夢中だ。



やっと、



「…届いた。」





end






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