長編

□信頼
1ページ/4ページ

あいつが船に戻った後、おれはもう一度座り込んだ。


「……くそが…」


あのアルトって奴……
一体、何者だ?





あの時…



あいつと目が合った瞬間、頭に激痛が走った……


あれは何だったんだ?




おれは、ゾロがゆっくりと目を閉じ、その直後に消えた瞬間を思い出した。


…あいつはきちんと船に戻れたんだろうか。
ちゃんと他のやつらに伝えてくれたのだろうか。



さっき別れたばかりなのにもう会いてぇ。


「はは…何だそれ。かっこわりィ…」

そんな自分に苦笑した。




「…よし」

頭を切り替え、次の試練ってやつについて考える。


もし次も打撃が効かないとなると厄介だな…

そもそも、次の試練って何だ?


今はまだ移動はしていない。

…と、なると、またここに誰かが来るのだろうか?




おれがあれこれ考えてるうちに、ずっと昇っていた太陽が急に沈み始めた。

「は……え!?」


有り得ない速度で太陽が沈んでいく。


信じられない光景におれは思わず立ち上がった。



すると、おれが立っている場所以外の景色がぐにゃりと曲がり出した。


「何だ…!?何が起こってる…!?」


間もなく太陽も沈みきり、辺りは真っ暗になった。

要するにおれは今、暗闇の中で1人立っている状態だ。




その時……


「何だよ…コレ……」



おれの目の前に光が飛んできた。


「─こんにちは」


光が突然話しかけてきた。


「え、は……えぇぇぇぇえ!?」



光の中にいたのは、小さな小さな少女。
割と綺麗な顔立ちだ。


…だが、一つだけ変わったところがあった。



背中から羽が生えていたのだ。




「君…誰……?」

おれは彼女にそう尋ねた。


「私?私はね……ここの案内人。名前はないの。適当に呼んで。さ、行きましょ?」

おれに向かって笑うと、彼女は背中の羽をパタパタ動かし、すーっと動き出した。




どうする?おれ。
あの子は可愛いが、かなり怪しい…



…少し迷ったが、結局おれはその後を追うことにした。




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ