大切なモノ

□三角関係…?
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あ、今日もか



まだパソコンと向かい合って唸っている彼女

…どうしよう

声かけた方がいいのかな



少し迷って彼女の背中を見つめてしまっていたらしい

僕の視線に気づいたのだろう

首だけ反転させて、潤んだ瞳で僕を見つめる


普段は背筋をぴんっと伸ばして堂々としているのに、今は背中を小さく丸めて縮こまっている


…はァ

声かけるしかないじゃん

そんなヘルプミー感満載の顔されたら…



「どうしたの?」



とりあえずやさしく聞いてみる

まぁだいたい予想はできるけどね



「他館にリクエストかけちゃって…」



ほらやっぱり…

前にも教えたじゃないか



「すいません…」



ほんの少し漏らした溜め息に気づいたらしい

相変わらず変なところで聡いんだよなあ

本当に申し訳なさそうに謝ってくる

それ以上縮こまったら背骨が折れるんじゃないの?



いや、これ冗談とか抜きで

彼女には加減というものがないから

班長も認めた貴重な戦力を、こんなくだらない理由で欠くわけにはいかない

何より困っている時の彼女の弱々しい雰囲気は好きだ

(さらりとドSなのは管理人の勝手な妄想と欲望の結果です)



「じゃあもう一度だけ教えるから、今度こそしっかり覚えてね」



ここで追い撃ちをかけるようなことは言わない

どっかの班長さんは厳しすぎるから、僕くらいは優しくしてあげなきゃね



「はいっ

次からはちゃんと自分でキャンセルできるようにします!」



それは他館に間違ったリクエストをかけるのが前提であるのだが…

有言実行な彼女がそれに気づくことは、おそらくないのだろう



…はァ

本日二度目の溜め息は、またもや目の前の愛らしくも手のかかる部下、笠原さんによるものだった
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