妖精の記憶

□2.ナツ・エルザの帰還
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「そこまでじゃ」

『あ、マスター』

また、えらく大きな姿だ。
まあ仕方ない感じもするけど。

「やめんかバカタレ!!!」

地響きのような声が響く。

「でかー――っ!!」

女の子のツッコミの声もなかなかでかい!


ギルドは一気に静かになった。
全員その場で停止。自分が動く必要がなくなったから、僕はまた椅子に座った。


「だーっはっはっはっ!みんなしてビビりやがって!!」

ナツが得意げに声を上げた。

「この勝負はオレの勝ぴ――」

すぐ巨人のマスターに潰されたけど。
”ぐちゃ”って音がしたけど、大丈夫かな?


「む?新入りかね」

「は…はい……」

はは、女の子がマスターにビビりすぎて口パクパクしてる。
せっかくの綺麗な顔が台なしになってるや。
確かに、巨人マスターはインパクトがあるもんね。


マスターはファンシーな効果音付きでみるみるうちに小さくなった。
2階にとびうつる……のには頭を打って失敗したけど、2階に上がった。

「ま〜たやってくれたのう貴様等。見よ、評議会から送られてきたこの文書の量を」
そう言ったマスターは一つずつ文書を読み上げた。


「それからウィクト」

うへっ、僕もか!?

「討伐依頼を半日で遂行するも魔獣の住み着いていた遺跡全壊」

『ごめんなさい……(忘れてた!)』

「貴様等ァ……ワシは評議員に怒られてばかりじゃぞぉ……」

マスターが拳を震わせてお怒りだ。

「じゃが」

マスターの手の中で文書が爆ぜた。

「評議員などクソくらえじゃ」

燃える炎をナツに投げると、ナツはもしゃもしゃ炎にかぶりつく。

「上から覗いてる目ン玉気にしてたら魔道は進めん。評議員のバカ共を恐れるな」

いいねぇ。だからこのギルドでなら、僕は自由でいられる!!

「自分の信じた道を進めェい!!それが妖精の尻尾の魔道士じゃ!!」


明るい笑い声がギルド中にこだました。





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