妖精の記憶

□2.ナツ・エルザの帰還
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「ただいまぁー!!!」

すごい形相でナツが帰ってきた。
鬼っていうか……猛獣?

『おかえり〜。一体どうしたのさ、ナツ?』

「おっ、ウィクトか。聞いてくれよ!あのサラマンダーのよぉ……」

ナツは会話が終わる前に他の方を向いた。

「てめぇ!サラマンダーの情報ウソじゃねェかっ!!」

誰かの方へひとっとび。
なるほど、やっぱりガセネタだったのかあ。

『ナツが帰ると、やっぱりお店が壊れるね』

「そうね」

ミラジェーンが楽しそうに笑っている。

そして、なんだか見慣れない金髪の女の子が喧嘩に飲み込まれているみたいだ。
だ、大丈夫かな……?


目線を送ると、なんだか嬉しそうな顔でこっちにやってきた。

「あなた、ウィクトよね!」

『うん。僕がそうだよ』

「キャー!本物〜!!」

『……』

女の子は僕の反応そっちのけで、まくし立てるようにしゃべった。

「ライトブラウンのクリクリヘアーに、藍色の瞳!雑誌で見るよりかわいいわっ」

『あ、ありがとう』

目がハートだ。
ていうか、僕はそんなに有名だったのか!?

『君、そこ危ないと思うよ』

「え?」

ああ、言うのが遅かった!

「キャー!」

女の子は飛んできた机に吹っ飛ばされてしまった。

「あらあら」

ミラが助けに行った。
まあ、女の子も楽しそうだし、いいかな!


喧騒から、一際大きなナツの声が聞こえた。

「かかって来いっ!!!」

両の手で炎が燃え上がる。

『えっ、魔法使うの!?』

さすがに止めなくちゃ!!
椅子から立ち上がって、辺りを見渡す。

これは、ひどいぞ……!
どうすればこんな短時間で、ここまでギルド内がぐっちゃんぐっちゃんになるんだよっ。
あきれながら、仕方なく魔法を使おうとする。





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