メガネ戦記

□第一話 希少な目
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事無学園 5:00

「あ〜もうなんでだよ…」
【事無学園】と言う私立高校に通っている俺―…縁田 空羅(えにしだ そら)は、テンションが下がっていた。
 俺みたいな平凡な高校生でも、一つは良い所があって、俺は視力が良い事だった。
 だが、今まで両目とも「A」だったというのに、いきなり「D」に落ちるという事態に陥ってしまったのだ。
 そのため、俺のテンションはすごく下がっていた。
 おまけに、目が充血してきちまった。いままでに見たことのない、鮮やかな赤だ。
「俺がますます地味になると言うか…。くそ…」
「地味になるのがそんなに嫌か」
「あたりま・・・・え?」
 俺は焦って、素早く振り向く。
 しかし、そこにはだれも居ない。
「なら、死ぬしかないな」
「何言って――ッ!?」
 と、見えない相手に叫んだ瞬間、頬に小さな激痛が走る。
「なっ!?」
 訳も分からず、鞄を振りまわすが、その反動で俺は尻もちをつく。
 その眼の前に、何者かが現れた。
「だ、だれだお前ッ!」
「これから死ぬものに教える名などないよ」
 周りが暗すぎて、ソイツの事が良く見えない。
だが、嫌な気配と、気味の悪い笑顔は良く見える。
「赤く光る目…。やはり、お前の眼は…。クフフっ」
 ソイツは気の悪い声を漏らして、口角を更にニィっと上げた。
「貰うぞ、その…綺麗な"希少な目"を…」
 "希少な目"?こいつは何をふざけたことを言っているんだ?
「や、やめ…っ」
「そのきたない手を離してもらおうか」
 しゃんっ!
 と、凛々しい声が、音のない道路に響く。
「む?おお、その紫色の目は!お前もか…、クヒヒッ」
「ああ、私もだ。だからなんだ?お前が死ぬのだから、そんなこと関係ない」
 俺の目の前には変な奴。その変な奴の前には、紫色の目をした、ポニーテイルの少女が現れた。
 少女は、その外見とは似合わない刀を構えていた。
 普通なら、銃刀法違反とかで捕まるだろ。
「残念ながら私は手加減という言葉を知らんのでな」
 と言い捨てると、刀を何故か鞘にしまい、姿勢を低くした。
 其れをこうきとみたのか、ダンッ!
 と、変な奴が大きく踏み出し、まるで瞬間移動のように、ポニーテイルの少女の懐まで飛び込んだ。
「哀れだな」
 ポニーテイルの少女は、ソイツの行動を見て、ニヤリと口角を上げた。
 そう。それは一瞬。
 ザシュッ!!
 と音がしたかと思うと、赤くて鮮やかな鮮血が宙を舞った。
 そのあと、そいつはその鮮血もろとも一瞬で消えてしまった。
「危なかったな、お前」
「あの、えと…」
 俺は状況が飲み込めず、少し焦る。
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