SHORT

□誕生日
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「エース!今日は何の日だと思う〜?」

「ん?」

朝食堂で会った2番隊隊員の女クルーで俺の部下であり愛しい恋人のハルが笑顔で質問してきた。

「ねーエースってば!今日はな・ん・の・日?」

今日はハルの誕生日だ。

もちろん知ってる。

当然だろ!

愛しい愛しい俺のハルがこの世に生まれてきた素晴らしい日だぜ!

忘れるわけねぇだろ?

でもそれを素直に伝えるのはなんか嫌で、ちょっとハルに意地悪してみたくなった。

だから知らないと言った。

「今日?何かあったか?」

俺は何も知らないふりをして笑顔で言った。

ハルは驚いたような顔をした後、悲しい顔をして、直ぐに怒った顔になった。

あーあ。

悲しい顔させちまった…

でも怒った顔も可愛いと思うv

重症だな、俺は。

これじゃあマルコに呆れられても仕方ねぇよな。

ははっ!

「…エースなんて…もう知らない!」

「はっ!あっ…ちょっ…と!」

ヤベェ!

ハルのやつを怒らしちまった…!

今日誕生日なのに最悪な気分にしちまった…

なにやってんだ俺は。

「くそっ!」

俺はダッシュでハルの後を追った。

ハルはどうやら自室に入ったようで、俺はハルの部屋の前で立ち止まる。

でもこのまま中には入らず、一旦自室に戻ってからまたハルの部屋に来た。

コンコン

「…ハル。俺だ」

コンコン

「………」

「ハル?…入るぞ」

そーとー怒ってるんだろう。

ハルからの返事はない。

俺はハルの返事を待たずに中に入った。

「…ハル。さっきはワリィ。本当は今日が何の日か知ってる」

「………」

ハルは布団に潜って返事をしない。

「あんまりお前がはしゃいでいるから、ちょっと意地悪したくなって…ほんとワリィ!」

「…ぐすっ…ショックだったんだよ…?」

ハルは泣き顔を布団から少し出して俺を見ながら言う。

ヤベェ…泣き顔もすっげー可愛い!

こんな時にこんな考えは駄目だとは思うけど、ハルの大きな目がうるうるしていて眉が下がっている顔は超可愛いんだ。でもいくら可愛いくてもニヤニヤしては余計ハルを怒らせてしまうのは確実だから、俺は必死に表情筋に意識を集中した。

「ほんとワリィ」

「…許さない…」

ハルは可愛い顔で口を尖らせて言うから俺は緩む顔に更に必死になってしまう。

んな顔すんなよ…

俺はベッドに近寄って、再び布団に踞るハルを布団の上から抱き締めた。

「本当にごめん。ハル…好きだ」

「…っ」

「許してくれないか?」

「…じゃあ、もう意地悪しない?」

「……………ああ。もうしない」

「今の間は何!」

「いやーだってハルが可愛いからつい意地悪したくなんだよ!怒った顔も泣いた顔も全部好きだから」

「…っ!そ、そんな事言って…」

「なぁハル。許してくれないか?」

「もう!そんな事言われたら許さないわけにはいかないじゃん!」

バカエース!って悪態をつくハルはどこか嬉しそうで、少しハニカミながら口を尖らせている。

ヤベェ超可愛い!

あー今日で何回この台詞はいたかな?

でもこれから先何度でも言うだろうな。

だってハルはいつまでたっても俺にとっては世界で一番可愛いプリンセスなんだからよ。

「ハル。誕生日おめでとう」

ハルの耳元に口を寄せてから低く囁くとハルは真っ赤になってますます目を潤ませてた。

「生まれてきてくれてありがとう」

そう言ってハルを抱き起こし、俺はポケットから誕生日プレゼントを取り出した。

「これ、やるよ」

「何?」

「開けてみろよ」

ハルの手のひらに乗せた細長い箱をハルが丁寧に開けていく。

「はぁ〜!エース、これ…」

「欲しかったんだろ?」

箱に入っていたのはハルがこの前の街で欲しそうに見ていたルビーのハートがついたネックレスだ。

「ありがとうエース!」

花が咲いたように笑うとはまさにこの事だと思う。

ハルは涙で濡れた目を思い切り細めて笑った。

チクショウ!可愛すぎるぜ!

あまり可愛かったから俺はハルを思い切り抱き締め、甘い唇に何度も啄んだ。







「誕生日おめでとう。愛してる、ハル…」








END

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