SHORT
□祭り
1ページ/1ページ
「島に着いたわよー!」
ナミの声が船に響き、島に着いた事をクルー全員が知ることになった。
「島だー!」
「今回はどんな島かな?俺、楽しみだゾ!」
「ああー島に入ってはいけない病が…」
ルフィ、チョッパー、ウソップがそれぞれ島への感想を漏らす。
サンジ君やフランキーも甲板へ出てきて、ナミとこれからの日程を相談していた。
私も島では色々ショッピングしようと思っているけど、正直言うとやっぱりルフィとデートしたい。
でもなぁ…
ルフィはきっと冒険の事しか頭に無いから、今回もチョッパー達と行くんだろうな。
そう考えながら私は島に降りる準備をしていた。
「ハルー!デートするぞ!」
「え?」
「デートだ!今日祭りやってるみてぇなんだ!行こう!」
部屋で着替えて、鞄の準備をしているといきなり部屋のドアが勢い良く開かれ、ルフィがニコニコしながら入って来た。
「ルフィ、冒険は?」
「ハルとデートしたいんだ!」
にっこり笑って言われるとドキドキしちゃうのは、やっぱり好きだからかな。
「ふふっ。わかった。行こ!」
「おう!」
私はルフィの腕を取って船を降りた。
「おい、ハル!あれも食うぞ!」
「ちょっと待ってよー!」
さっきからずっと私達は食べ歩きをしている。
ルフィがあちらこちらの食べ物を買いまくっている。
「ハルー!あのゲームやろうぜ!」
「わー、楽しそうだね!」
食べ物ばかりに目が行っているルフィが、今度はゲームに興味を移した。
それは魚釣りのゲームで、水では無く白いスチロールで埋まっていて、模型の魚に磁石を付けてそれを磁石のついた竿で釣り上げるやつだ。
さっそく私達は屋台のおじさんにお金を渡して、竿を受け取った。
「それ!」
勢い良く糸を垂らすと箱を掻き回す様に動かすルフィ。
「釣れると良いね」
「おりゃっ!」
「わー!釣れた!」
「よっしゃー!」
ルフィが引き上げた先には大きな魚が引っ掛かっていて、そこには1等の文字が書かれていた。
「すごい!すごいよルフィ!1等だよ!?」
「やったなハル!」
やったーとキャハキャハと抱き合って喜ぶ私達を見て、屋台のおじさんも笑っていた。
ルフィのお陰で私達はでかいクマのぬいぐるみをゲットし、次の屋台へ移動する。
「ルフィ、今度はあのぬいぐるみ取って?」
私達が来たのは射的で、棚には色々な景品が展示されている。
その中で私は猫のぬいぐるみが欲しく、それをルフィにねだってみたが、ルフィは射的をするのは初めてらしく、銃の使い方から屋台のおじさんに教えて貰っていた。
これじゃあ的に当たるのは無理な話で、結局ルフィは1つも倒せる事なく終わってしまった。
「残念!」
「くっそー!」
悔しがるルフィは普段以上に子供っぽく、思わず笑ってしまう。
そんな私を見てルフィは口を尖らせて拗ねるが、それが更に愛しかった。
「ふふっ、ルフィ可愛い」
笑ってそう言うと、ルフィは少し頬を赤く染めてそっぽを向いた。
「ルフィ、次はちょっと休憩しない?花火もやるみたいだからさ」
「花火か!見たい!」
行くぞ!と元気になったルフィは私の手を引いて、私達は屋台を抜けて誰も居ない丘にやって来た。
「ここなら綺麗に見えるぞ!にっしっし!」
なんでこんな場所知ってるのか不思議だったが、今はそんな事気にしない。
ルフィが私の為に連れて来てくれた場所だから、それだけで私は胸がいっぱいになった。
ドーン!
「あ、花火が始まった!」
「きっれーだな!」
丁度良い角度に上がる色とりどりの花火がとても綺麗で、そして誰も居ない場所に二人きりと言う事がとてもロマンチックだった。
私達はどちらからともなく寄り添い、頭上に上がる花火に酔っていた。
「ルフィ…こんな素敵なところに連れてきてくれてありがとう」
少し照れながらもちゃんと今の気持ちを言うと、ルフィに抱き締められた。
普段の軽いノリではなく、なんとなくルフィの雰囲気が違っていて、いつもよりドキドキしたのは内緒。
「俺も、ハルと二人で見れてよかった…」
耳元で低く囁くルフィに、ぞくぞくしてしまう。
至近距離で見つめ合い、やがて私達の唇がくっついた。
「ん…ふ…っ」
「はぁ…ハル…」
「は…ルフィ…っ」
暫くの間私は抱き合ったまま、長く甘い甘いキスをしていた。
「ルフィ…大好きだよ」
「俺もハルが大好きだ!」
私達は抱き合いながら愛の言葉を囁き、ニコニコ笑い合って夜空を眺めた。
END