You are one of my…

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学生ってのは不自由なもんだ。
教室に向かいながら独りごちる。
“嘘をついてはいけません”ガキの頃からそう言われてきたから担任の質問に正直に答えたのに、なんか知らんがすげー怒られた。内申がどうこう言ってた気もするがくだらない。んなもん無くたって高校くらい行ける。そんなことより、寝ていただけでこんな時間まで残されたことのほうが問題だ。もう陽が傾いてんじゃねぇか。

なんでいつも寝てるんだって聞かれたから
「起きてる意味がねぇ。」って言っただけなのに。


夕方の学校は静かだ。
いつもは騒がしいし何故か少し臭い教室も、この時間帯に見れば綺麗なんだと、この学校に通い始めて3年目にして初めて知った。
校内に残っている生徒はいないらしい。そりゃそうだろう。下校時刻の放送は随分前に流れていた。
グラウンドの方から、運動部のかけ声が聞こえる。
鞄を取ってさっさと帰ろうと教室へ急いだ。


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扉を開けると教室は見事な茜色で、思わず息を呑む。それと同時に、校舎に残っていたのが自分だけではなかったと気付いた。窓際の席に男子生徒が一人突っ伏している。寝てんのか?
夕陽差し込む教室の窓際の席で眠る男子生徒、なんて女子がため息を尽きそうな出来過ぎたシチュエーションに思わず立ち尽くしてしまった。

教室の机というのはわざわざ居残りするほど寝心地が良かったか。
などと暫くぼーっと考えていたが、いつまでもこうしている訳にもいかない。誰だか知らんがあいつは放っておいても構わないだろう。4月もあと数日で終わるというこの時期、随分と暖かくなったから風邪をひくことはないだろうし、いつか勝手に起きんだろ。

そもそも、俺には関係ねーことだ。
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