ShortStory

□失恋マジック
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「ねぇ、ねぇ!彩芽(あやめ)!」

と私の友達の奈々(なな)が私を呼んだ

「何?どーしたの?」

私が振り返ると奈々が背の高い男子と腕を組んで立っていた

「実はね…ウチ、悠聖(ゆうせい)君と付き合っうことなったのー!!!」

奈々は満面の笑みを浮かべて、話す

「―…そうなの?おめでとう奈々!」

「ありがとう!!もちろん私達のこと認めてくれるよね?彩芽?」

「うん…!もちろんだよっ!」

「さっすが!彩芽は分かるよねぇ!行こ!悠聖君」

奈々は教室から出て行った


―奈々が悠聖君と付き合う……??

どうしてー…? 何でー…?

奈々は私が悠聖君の事“好き”ってこと知ってるのに……?

何でー…?


放課後、私は独り教室にいた

机の上にノートと教科書を並べて、勉強をしようとしていた

―よし!勉強しよう……

と思いシャープペンを持ったものの、私の目には大粒の涙がたまっていて流れ落ちた

「何でー……こうなるの……?」

と知らず、知らずのうちに口から出していた


私が声を殺して泣いていると奈々と悠聖君が一緒に入ってきた

「……あ」

「彩芽、どうしたの?泣いてたの?」

「…ちっ違うよ!?目にゴミ入っただけ…」

そのまま教室の中は静まりかえった

「さてと!私は勉強しますか…!」

と元気にふるまってみせた すると……

「…彩芽。ごめん!!ウチが悠聖君と付き合う事になったって事嘘だから!本当…ゴメン!!」

「…え?」

何が何だか分かんなかった

「実は、ウチが悠聖にたのまれて……。“俺と奈々が付き合ってる事にしてあいつに話しかけてくれ”ってね……」

「……そう…なの?」


すると、悠聖君がゆっくりと口を開いた

「…あぁ。ごめんな、嘘ついて」

一言、言い終えた5秒後ぐらいにもう一度、口を開いた

「俺……お前の事ずっと好きだった。付き合ってくれないか?」

思いもしない言葉だった

「わ、私……?」

「お前に言ってるんだから、そうだろ…。彩芽…。」

と照れくさそうに言った

「こんな私でよければ…よろしくお願いします。」

「もう…本当に感謝してよ!?ウチ、恋のキューピットなんだからねっ!」

「わかってる、わかってるって。さすが、幼馴染の奈々だな。感謝している」

って笑いながら嬉しそうに言った

「え?幼馴染なの?」

「そうだよ!悠聖とは昔から仲良かったの」

「な…何で…言ってくれなかったの…?」

私はまた大粒の涙を流した

「泣かないの!!彩芽!」

「だ…って……」

こうして私の失恋魔法にかけられたように姿を変えたのでした
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