Pearl sapphire blue
□ただいま!
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YeSung
「♪〜」
妙にご機嫌なリョウクが、台所で鼻歌を歌いながら料理をしている。リビングにはいい匂いが立ち込めていて、自室に籠って一休みしていた俺も気になってリョウクの元へ。
「ご馳走だ」
「うわぁっヒョン!?びっくりさせないでよ〜」
後ろから突然声をかけたからか、もの凄く驚いたリョウクが俺に抗議の視線を向けながら言った・
俺に気づかないほど料理に夢中だったのかリョウク。
いつも料理をしている時は楽しそうだけど、ここまで楽しげなのには何か理由があるに違いない。
「今日、なんかあったか?」
「ふふ、今晩ヒョン達が日本から帰ってくるだって。だから美味しいご飯用意しておこうと思って」
きっとお腹が空いてるだろうから。なんて言ううちの永遠のマンネは本当に優しい。
俺も見習うべきかなと一瞬考えたけど、普段から特になにもしない俺が、いきなり「皆のために料理作りました」…なんて言えばきっとドン引きされるに決まっているのでやめておく。
リョウクが料理をしている様子をしばらく見ていた俺だったけど、不意にポケットの中の携帯が鳴った。
開けば自動で開かれるメール。
『オッパ、もう少しで宿所に着きます。
早く会いたいです。
お土産楽しみにしててください。』
ほんと、女子のメールとは思えないほど簡易的で絵文字の一つもない。でもそれがチヒロらしくて思わず顔が緩むと、
「ヒョン、チヒロからメール?」
と、なぜか着信相手を見透かしているリョウクに驚く。
「なんで分かった!?」
「なんでって…ヒョンの嬉しそうな顔見れば分かるよぉ〜」
そんなに分かりやすい顔をしてたのだろうか。
言われて初めて気づいた。
そりゃ、男から来たメールにニヤニヤしてたらおかしいから、自ずと相手がチヒロだということが分かったのだろうけど――。
なんか気恥ずかしい。
*
KyuHyun
「「ただいまぁ〜!!」」
なんて上機嫌で部屋に上がり込んできたのは、トゥギヒョンとウニョクヒョンとドンヒヒョン。そして少し遅れてソンミンヒョンが「ただいま〜」と疲れた様子で玄関に現れた。
他のヒョン達は12階だから、ここにこないのは分かるけど、なんで12階のトゥギヒョンが居てヌナがいないのだろう。
lt「キュヒョンただいま〜」
俺にハグを求めてくるヒョンを無視して、
kh「ヒョン、ヌナは?」
lt「今車から荷物持って来るよ!(俺が抱きつこうとしてるのにチヒロの話か〜TT!)」
荷物って、行く時はそんなに大荷物じゃなかったはずだけど――
と、不思議に思っていると。
「ただいまです〜」
ヌナの声。
リビングに現れたヌナは両手に沢山の袋をぶら下げていて、大層ご満悦のご様子。
冬の夜風を浴びて頬が少し赤く染まっていて、首にぐるぐるに巻いている赤いチェックのロングマフラーは今まで巻いてるのを見たことがなかったから、日本で買ったものだろう。マフラーに口元まで顔が埋もれている様子は、なんだか幼い子供みたいで愛らしい。
「うわぁ…やっぱり宿所が一番落ち着きますッ」
微笑んだヌナの気配。顔がしっかり見えないのが残念だ。
rw「おかえり〜チヒロ」
「リョウク!ただいま!」
ys「随分と沢山買ってきたな?」
「はい!お土産です!みんなにッ」
よいしょっとチヒロはそれらのものを食卓テーブルの上に置いた。イェソンヒョン達がそれぞれ勝手に漁り出す。
ys「チヒロ、俺のお土産は?」
「あ、その緑の袋です!」
sd「チヒロおまんじゅうはどの袋だっけ?」
「その紙袋です」
lt「あれ?12階メンツに買ったお煎餅ってどれだっけ?」
「ッおっぱ、それ少女時代に買ったヤツ!お煎餅はその隣の袋です!」
ヌナが忙しそうに袋の中身をメンバーに説明しているのを眺めていたら、ふと俺はヌナと目が合った。
なんだろうと怪訝に思っていると、ヌナはある袋を持って僕の元にやってくると、その袋の中から緑色の包装紙に包まれた正方形の箱を差し出してきた。
kh「なんですかこれ?」
「さあ、なんでしょう」
そう言われてそれを受け取ると、なかなかの重さ。大きさも結構大きくて、紙を解けば、出てきたのはパソコンに取りつけるスピーカーで―――、
そしてそれはただのスピーカーじゃなくて、僕が前から「欲しい」と溢していたものだった。
kh「ッなんで」
これは最近韓国で出たばかりのもので、テレビでよく宣伝されていたのだけれど、なかなか買いに行く機会もなくて、やっと得た休日に電気屋に行っても人気だから品切れになっていたりして買えずにいた。
そんなものをどうしてヌナが持ってるんだろう。
「たまたま日本で見つけたの。韓国で売ってた値段よりも随分安くてね、どうしてかなぁって思ってたら、これ日本の会社が作ったものなんだって。緑と黒しか置いてなかったけど、キュヒョナのマウス緑色だから、緑にしたんだ。…これで良かったかな?」
kh「うん良い――ッむしろ緑が良かった」
喜びで久々に胸が弾んだ。
僕の言葉に、ヌナがほっとしたように微笑んだ。ああもう、こういう時最高に可愛いんだよヌナは。
「嬉しい?」
kh「うん。やっぱヌナ最高」
そう言えば照れたように少し頬を赤らめて、でも嬉しそうに笑うヌナ。
もういっそのこと抱きしめてしまいたいと思うけど、そんなことしたらきっと、今までヌナに押し留めてきた思いが溢れて止まらなくなりそうだから、我慢する。
kh「ありがと」
僕が滅多に言わない感謝の言葉に、ヌナは少し驚いたような顔をしたけど、すぐにやんわりと微笑んだ。
ヌナは昔から優しい。
まだ練習生の時、たくさん辛いことがあって弱っていた僕は、ヌナによく励ましてもらっていた。、
メンバー入りした時だって、ヌナは誰よりも僕のことを気遣ってくれたし、いつも傍で、見守ってくれていた。
「あんまりゲームやり過ぎて、身体壊さないでね」
kh「ん」
「お、なに?珍しく素直だね」
くくっとヌナが笑う。俺も釣られて微笑んで、二人で和んでいた時だった。
「チヒローーーーーヽ(^o^)丿!!!!!」
キタ。
「ドンヘオッパ、ただい「お帰りチヒロッ!!!」ぐえッ!!?」
大好きなヌナ
「オッパッ!死にますッ!!」
「寂しかったよぉぉ!」
「ヒョン、ヌナが青ざめてる」