短編

□全部好き。
3ページ/4ページ





幸せそうに眠るフランはまるで白雪姫のようだった。



ベルはフランの髪に手を通した。



翡翠色の髪と同色の瞳は密かにベルのお気に入り。
どちらもフランにとても良く似合っている。



「睫毛まで緑だし」



ベルは呟きながらフランの頭を軽く撫でる。



白雪のように白い肌や、

細い首筋や先端部だけ赤みがかった細く長い指

その女と見間違えるような華奢な身体付きも


全部、全部、ベルのお気に入り。


フランの嫌いなところなんて微塵も無い。もちろん見た目だけではない。


普段は意地っ張りで弱みを見せたがらない癖に時折見せる甘えや

実は心配性だったり、

寂しがり屋だったり、

全部、全部、好き。

普段は豊かでたまにしか見せない顔も好き。


笑った顔も、

怒った顔も、

拗ねた顔も、

泣いた顔も、

嬉しそうに微笑む顔も、


全部、全部、愛しくて、


全部、全部、お気に入り。


全部、全部、好き。







後書き→
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ