短編
□全部好き。
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幸せそうに眠るフランはまるで白雪姫のようだった。
ベルはフランの髪に手を通した。
翡翠色の髪と同色の瞳は密かにベルのお気に入り。
どちらもフランにとても良く似合っている。
「睫毛まで緑だし」
ベルは呟きながらフランの頭を軽く撫でる。
白雪のように白い肌や、
細い首筋や先端部だけ赤みがかった細く長い指
その女と見間違えるような華奢な身体付きも
全部、全部、ベルのお気に入り。
フランの嫌いなところなんて微塵も無い。もちろん見た目だけではない。
普段は意地っ張りで弱みを見せたがらない癖に時折見せる甘えや
実は心配性だったり、
寂しがり屋だったり、
全部、全部、好き。
普段は豊かでたまにしか見せない顔も好き。
笑った顔も、
怒った顔も、
拗ねた顔も、
泣いた顔も、
嬉しそうに微笑む顔も、
全部、全部、愛しくて、
全部、全部、お気に入り。
全部、全部、好き。
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