短編

□ケーキ。
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フランの白く綺麗な指には幾つもの絆創膏が、
指の腹からは痛々しい血が溢れ出ていた。
結構深く切ったみたいだ。


「絆創膏取ってくるわね〜」


鍋の火を止めてルッスーリアは調理場を出て行った。


「痛い?」
「そりゃぁ、まぁ」
「料理、しなきゃいいのに」


ベルがそう言うとフランは少し俯き加減に言った。


「いつか、先輩に美味しい料理を振る舞うのが夢なんですーっ!!」


顔を真っ赤にしたフラン、
ベルは思わずフランの腕を掴み切った指から溢れる血を舐めた。


「!?」


フランの血を舐めとったベルはニヤリと笑った。


「期待してるぜ?」


そう言い残しベルは調理場を後にした。
残されたフランはフルフルと全身が震えていた。
林檎病のように真っ赤にしたフランの頬を指でつついて我に帰らせたのは絆創膏を持って戻ってきたルッスーリア。


「戻ってくるときにベルちゃんとすれ違ったけど、どうしたの?ベルちゃん、今のアンタみたいに真っ赤だったわよ?」


頬が緩む。
あんな捨て台詞を吐かれて黙っているフランではない。


「絶対美味いって言わせてやりますーっ!!」





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