短編
□僕らの休日。
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…今日は休日だというのに珍しく部活が休みだった。
【僕らの休日。】
休みだ…といっても、コレといって特にやる事などなく。
暇を潰すように、音楽聴いたり、パソコンしたり…
パソで、ネットサーフィンを続けて、約一時間。
ブログとか、サイトとかを巡ったが…コレといって面白いものも見つからず、少し休憩しようと思いパソコンから目線を外す。
ふと、ベットの方を見ると、俺のベットに寝そべりながらPSPとにらめっこしている幼馴染の蒼の姿。
俺の家に『暇。』の一言で上がり込み、それからずっとあの調子。
「何しとんのや?」
…何しとんやろ?
そう思ったら、聞いとった。
『…PSP。』
一瞬、俺に視線を向け、すぐ画面に視線を戻し、ぼそりと答えた。
「……見とりゃ分かるわ。」
『…ほな、なんて返せばよかったん?』
なんて…って。
はぁ。
「……質問変えたるわ。」
『…おん。』
なんて…といわれ少し考え、質問する。
「…何のゲームしとんの?」
『……カクゲー。』
カクゲー?…蒼が??
「自分、カクゲーに興味あったん?」
以外や。…なんて、小さく呟く。
『…いや。別に。』
面倒くさそうに答える蒼。
は?…ほな、なしてや?…と、問うと。
『…兄貴にレベルUp頼まれとんねん。』
「…兄貴?」
『おん。…ウチやった事ない言うたんけど…兄貴に無理やり押し付けられてん…』
今に至るんや。…軽くため息付きながらそう続けた。
あぁ、そういえば蒼の兄貴はゲーム弱かったもんな。
……色んな意味ですごい人だったわ。あの人は。
「……レベル、上がったん?」
蒼はゲーム得意やから、少しは上がったんちゃう?
『……コレ、難いわ。』
そう言いながら、画面を俺に見せる。
……ん?…コレ見た事…!
「…あ。コレ、俺持っとるで?」
『ホンマか?』
「おん。…全クリしたし…」
そう、呟くと、蒼はキラキラした目で俺を見つめてきた。
え?…なんやねん。
『光、頼みあんねん!』
「……なんや…」
なんや、嫌な予感するのは俺だけか?
『コレ、ウチの代わりにやって欲しいねん。』
お前は、金太郎か?!
…金太郎がよく言ってくる台詞やん。
「…まぁ、ええけど。」
…色々と脳内ではツッコミしとるけど、蒼には優しい俺。
幼馴染だから…ちゅーのもあるけど…
『…ほんま?ええの??』
「自分から頼んだんやろ?」
『…おおきに!』
…あ。ヤバイ。
…俺の好きな笑顔。……はぁ…また惚れてもうたやん…
そう言って、対戦途中のPSPを俺に渡す蒼。
………ん?………ちょっと待てや。
コレ、対戦途中やん!!
『…あ、それ、あとちょっとで死ぬで?』
な!!?
…HP残り5……って、なんやねん。
一撃でも食らったら死ぬやん。
『…殺さんといてや。』
HPココまで減らしたの自分やろ、おい。
なんや、俺がしたように言うのやめや。
「…しゃーないから、勝ってやるわ。」
『おん!頑張れ!』
にっこり、俺に笑いかける蒼。
自分ホンマ、人事やな…
頭の隅ではそう思いながらも、顔が少し赤くなっていたのは俺しか知らない。
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