*Aquamarine*

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「久良っ!」



待ち合わせ場所に着いたが、人が多すぎて蔵ノ介が何処にいるのかわからず自分の前を通り過ぎていく人を眺めていたら少し先の方に彼が居た。




「久良!…誕生日おめでと。」




蔵ノ介が私の居るところまで走ってきてくれた。私の名前を呼ぶと同時に視界が暗くなった。目の前には…服?……この服が彼のもので、抱きしめられていたというのに気づくのに少し時間がかかった。トクン…トクン…と彼の心音がすごく心地よい。服をきゅっと握ると更にぎゅーっと抱きしめられた。



…ああ、幸せだ。





しばらく彼に抱きしめられていた私だが、ふと我に返り公衆の面前であるということを思い出し顔を赤くしたのは言うまでもない。










「久良…まだ顔赤いで?…ほんま可愛えな。」




彼と所謂恋人繋ぎというものをしながら2人並んで歩く。今だ顔が赤い私は空いている片手でパタパタと熱を冷やそうと顔に風を送る。




「今日の服装も可愛え…帽子も…ああ、もう全部可愛え!」




そんなに褒めても何も出ないよ…と恥ずかしさの余り下を向きながら小声で反論する、が彼には逆効果だったようだ。顔真っ赤やん、あーほんま可愛え!と更に言ってきた。顔の熱はしばらくおさまりそうにないです、悪いのは蔵ノ介です。と敬語になりながら彼に言うと、久良が可愛えのがあかんのや、と言い返された。もう、やめて。





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