*Aquamarine*

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…よし、出来たで!…そう言って私の首からそっと両腕を離す彼。胸元を見てみるとネックレスがあった。今日の空に似ている青い色のストーンが太陽の光に反射されキラリと光る。

そっとネックレスを手にとる。…ハートの形の細工の右斜め上に埋め込まれている青い石―…アクアマリン…










昔、本で見たことがある。

小さい時から本が大好きだった私は今まで沢山の本に触れてきた。勿論誕生石の本も読んだ事ある。その時は自分の誕生石は特に隅々まで読んだかな?…オパールとトルマイン。私の誕生日である10月の誕生石。

実際写真で見てみるとオパールは虹色…というか色んな色が混ざっていて、トルマインはガラス玉のような感じで…文句を言うつもりはないけど…アメジストとかエメラルドとか、そういうのに憧れてというか、有名なのが良かったなぁ…とその時少し残念に思ったのは覚えている。



10月の誕生石の紹介を読み終わり、ぱらぱらと得に意味もなく他のページを見ていたときふと目に入った青。

慌てて前のページに戻り、その青い石のページに戻る。
その石の名前は…"アクアマリン"、その名の通り、海のような…綺麗な青。



そのページの上の方にあった見出しには"3月の誕生石の紹介"と書かれていた。

綺麗な石だな…とその時はそれで終わった。







……その石が今、私のつけているネックレスに付いている。



アクアマリン…蔵ノ介が言うには意味は、"良い出会いを運び、2人の愛を育む手助けをしてくれる"…らしい。2人の愛を育む手助け…だなんて、夫婦にかける言葉みたい、と心の中で思っていたら、蔵ノ介が私の手をぎゅっと握ってきた。どうしたのかと不思議に思い、顔をあげ彼に目線を合わせるとにっこり微笑んだ。






「久良、16歳の誕生日おめでとう。」



…そっか、私16歳になったのか。
16歳といえば女性はもう結婚できる年。大人の仲間入りをしたような気分になった。

ありがとうと微笑むと、あいている片手を私の頬に添える彼。




まっすぐ私の目を見る彼。
彼の髪が風になびいてふわりを揺れる。





「………久良、俺と結婚して下さい。」





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