作品集

□Memory
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ざわざわ・・・


休日の午後

天気にも恵まれ 街は人でごった返している


月国の兵士レニーも本日はオフで 健康のためにも、と大通りを眺めながら散歩をしていた




「人が多いな・・・」

混雑と喧騒は好まないが
地元に活気があるのは嬉しい

軍人であるレニーは 賑やかという幸せを噛み締める




が、それに浸る間も無く 眼帯と反対側の目がつまらないものを映す



小柄な少女に絡む 男二人組
休日だからだろうか 昼間から酔っているように見える



「私は行くところがあるので・・・」
少女はやんわり断ろうとする

が 二人組はまあまあそう言わず。と 彼女の細い腕を掴んだ



正義感の強いレニーは放っておけない

止めに入ろうとした その時








「「うちの妹に何してやがる!!」」




綺麗にハモる声。

二人組はがしゃんと音をたて 酒場の壁に叩きつけられ泡を吹く

少女は 声の主にくるり振り返ると



「兄様!」


とびきりの笑顔で 微笑んだ


「無事だったか?」

浅黒い肌にラフに伸ばした黒髪。
キツイ印象の青年が少女の頭を撫でる


「まったく だから一人で行くなといったろう?」

長身の紳士風の青年が少女の顔を覗き込む


少女は青年達に 大丈夫です。ごめんなさい と笑う








『シスコン。』そんな言葉が脳裏をよぎる
呆気にとられていたレニーははっと我にかえった



「あら? レニー様」



少女がレニーを見つけ呟く


「・・・誰だ」
レニーは思わず呟き 考える
――俺にこんな知り合いは居たか?
いや 居たとすれば・・こんなインパクトの強いものを忘れるわけが ―――



考え込むレニー


黒髪の青年が忌ま忌ましげに妹に言う





「人間などに構うな ヘル。」






「フェンリルか!?」

考えるより早く レニーは驚きの声を上げた
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