短編小説
□いんせすと☆
2ページ/10ページ
ガチャッ
ドアの真ん中に付いてるアレから相手を確認することもなく、ドアを思いっきり開けてやった。子供のイタズラだったら絶対許さねぇ。
連れからタダでさえ目つき悪い目つき悪いって言われてるのに今はさらに眉間に皺が寄ってかなりイカツイ形相をしているんだろう。でもそんなこと知ったこっちゃねぇ。その主を睨むように見下ろしてやった。
が。
「お、お前…」
「…うーわ相変わらずおっかねぇ顔してやがる。」
俺の視界に飛び込んできたのは俺の実の弟だった。すげー怪訝な顔してやがるし。
2年くらい会っていなかったから一瞬誰かと思ったが、幼い時にすっ転んで怪我した目に付いてるまるで時代劇の悪役みたいな傷と昔の面影が残っていてすぐに分かった。
「わ、わるかったな。クソ暑い中セールスでも来たのかよと思ったんだよ。」
「ふーん…」
と、特に興味なさそうに返事だけ返して靴を脱ぎ始めた。
「おいおい急に押し掛けて何の用だ??」
「ん?ぁあ、俺夏休みバイトこの辺ですることになったから1ヶ月の間ここ間借りするってことにした。
…ってこの部屋雄くっせぇなぁ。クーラーくらい付けたらいいのに。」
おいおいなんだ急に来てその態度はー!!
「ちょ、おま…そんな事急に言われてもだな…。って雄臭いは余計だ。俺だって別にクーラーケチって付けてないわけじゃねぇんだからな!」
「大丈夫。母さんには言ってきたから。
ほんと彼女いない雄の臭いがプンプンする。」
グッサァ…!!
俺に獣人権はないんすか。俺にも考える事くらいさせてください。つうか失礼だぞおい、兄に向かって言うことあるかそれ。