長編小説
□第一章〜出会い・過去〜
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夕方‐町の外れ‐
ザシュン!! キン!!!
ザクッッ!!
ビチャビチャッ…
何かを放つ音
鉄の様なものがぶつかり合う音
血液が地に流れ落ちる音
この静寂な空間をこれらの音が支配する。
「ッ!!!……フッ!!」
『当たらねぇな。』
キキンッ!
素性を隠すためか黒い装束、黒い頭巾の様なものを纏った何者か分からない人物が痛みに耐えながらも勢いよく投げナイフ3本を投げた。
そしてそれをラフな格好をした蒼色の毛並みの狼獣人がいとも容易く刀で叩き落とす芸当をやってのけた光景がそこにあった。
『結構魔力を削られちまったが、所詮こんなもんか。そろそろ俺の命を狙う理由を吐いたらどうだ??』
「クソッ……!!」
‐???視点‐
敵も答えねぇみてぇだし…早くケリをつけるとするか。
でも、この魔力の消費量だ。時空間魔法はこれ以上使うとカラダにくるからな・・・その…後の処理が嫌なんだよな///
って、今はそんな事心配してる場合じゃねぇが。
魔力もあんま残ってねぇし…まあ、魔力を温存する戦い方で行くか。
『-ライトバインド‐』
ヒュン!!バシッッ!!
「!?」
俺がそう詠唱すると光属性の初級魔法が発動し、光の束が奴の体の自由を奪う。そしてこの隙に俺は詠唱する。
『‐静かなる氷の息吹よ、ささやかなる慈悲を彼(か)の哀れなる子に授けよ!!‐
‐アイスダイレクトショット!‐』
シュッ!! キン!!!
ドシュ!!!ドシュ!!!
「ぐぁ゛ぁ゛っ!!」
俺の放った氷の魔法は奴の腹部に着弾し、炸裂することによって、さらに腕や胸部、他の部位まで効果を及ぼし奴を10m程吹き飛ばした。
「アイスダイレクトショット」は詠唱の穏やかな口上とは裏腹にかなりエグい水属性の中級魔法だ。
それを奴に叩き込んだ。
「うぐっ。フゥゥ..フゥ、、、」
もう奴は虫の息ほど。決めるなら今だ!!