長編小説
□第十章〜新たなる土地へ〜
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ザーッ...ザーッ・・・
ブロロロロォォ.....
「ふー...風が気持ち良いねぇ。」
「ぁあ....そうだな。」
デッキにて暖かい日差しの下、潮の音が聞こえるこの船上で爽やかな風が二獣人の獣毛を擽っている。
一方は180越えの犬獣人、もう一方はそれよりもさらに高い2m近くの熊獣人。
ゼクトとジンだ。
「うー...気分悪ぃ・・・;」
『あれだけがっついてメシ食うからだろ...。』
そしてその傍にベンチで仰向けになって腕を目隠しの様に乗せ、唸る大柄な虎獣人と、すぐ隣のベンチに腰掛けその虎獣人を呆れたといった視線を投げかける小柄な狼獣人がいた。
言わずもがなライゼンとレイトだ。
「だってよぉ...あんなに美味そうなメシだったらガッツいて食うに決まってんじゃ...ぅえ。」
『オイ!? 吐くなよ!?
ったく..... 効くか分からねぇけど。。
-レストレーション-』
そういってライゼンの頭に手を置いて面倒臭そうに魔法名を詠唱し、光属性の回復魔法を掛けるレイト。
キュゥゥン...
「おっ、なんか大分マシになったような気がするぜ。
サンキューな、レイト♪」
『これに懲りたら馬鹿食いするなよ。 太ったら別れるから。』
「エッ!? そりゃねぇよ;...。」
ひょこっ!
「なーにイチャイチャしてんの?」
と、そこへ先程まで相方と海を眺めていたゼクトが二獣人の方へやってきた。
『なっ!? んな事してねぇよ!///』
「なぁ聞いてくれよぉ。レイトが俺が太ったら別れるとか言い出すんだよぉ...。」
「まぁ、少しくらいは良いんじゃない?
それに太ってるのも一種の萌え要素っていうかさ...。」
『ヤダ。 ライにはガッシリでいて欲しいんだ。///』
「逞しい腕に抱かれるのが幸せっていう...?」
『そうそう.......
って! テメェ何言わせてやがる!?///』
ゼクトにからかわれて顔を真っ赤にしながら怒るレイト。
それを楽しそうに見ているライゼン。
それと依然表情にあまり変化はないが、少し口端を緩めながら事の成り行きを見守るジン。
この4獣人は今日も平和である。