短編小説
□俺達のSt. Valentine's day(バレンタイン企画)
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とある街にて-
「ったく…なんなんだ?このヒトだかりはよぉ…」
『多分今日はアレだからだろ?』
ガヤガヤ……ザワザワ…
「あー、そうか…
旅してるとあんまり日付とか気にしねぇからすっかり忘れてたぜ…。」
ライゼンの疑問に、返すレイト。
少し考えた後、どうやら何の日かは理解したらしい。
「ま、そりゃ一緒に外も出たくなるよね♪」
「…そういうものなのか??」
そしてその後ろで二獣人で並んで歩き、相槌を打つゼクトとジン。
いつものように記憶の石を集める為に各地を旅するレイト達であったが、今日はやけに街が騒がしい。と言うよりも浮ついているといった雰囲気だ。
レイトが言ったアレとは2月14日の行事、バレンタインデーの事だ。
行事の中ではまだ新しい方だが今ではすっかり定着した行事になっており、周りが海に囲まれた島国の出身の、しかもそういう手合いの話に興味がなさそうなジンでさえ知っている程だ。
多くの老若男女がカップルといった雰囲気を漂わせ街を賑わせていた。
また、この世界は男女比が均等ではないためか恋愛は寛容な方で男女のカップルは勿論の事、男性同士女性同士で手を繋いだり肩を抱き合ったりして街を闊歩する姿も伺える。
「いらっしゃーい! 今日はとっておきの価格でおじさんカップルのキューピッドになっちゃうぞぉ!!」
「今ならここの棚のはオマケつきだよっ! 愛するヒトにあげるプレゼントは是非ウチでっ!」
また露店にはこの日を待っていましたと言わんばかりにそういった類の対のアクセサリー類を売る店や、やはり定番と言ったところだろうかチョコレート類を売る店が多く軒を連ね、あれやこれと色々な方法で客足を寄せていた。