短編小説
□狼男が吠える夜に(ハロウィン企画)
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今日は10月31日。
時刻は昼過ぎ。
レイト達がいるこの世界もその頃の季節になるとどの街でも村でも様々な趣向を凝らしたハロウィンの装飾が町々を彩る。
何かとイベントや祭り好きな獣人が多いのかこう言った催し物は頻繁にかつ盛大に行われる。
中にはそれほど興味ない者もいるが…。
『ったく… 最近はどの街でもどいつもこいつも浮つき過ぎだろ全く…。』
レイト達一行は一昨日に前の小さな町を出て昨夜にこの街に到着した。
前の小さな隣町でさえかなりの気合の入りようだったためだいたい想像はできていたが、ここでは言うまでもなく更に気合が入っているようだ。
更に丁度31日と言う事もあってこのイベントに応じたグッズやインテリアやらの露天がズラッと並んで大変賑わっており、中には仮装している獣人もいて一番の盛り上がりを見せている。
「仕方ないんじゃない?みんなお祭り好きなんだしさ♪」
そう言って隣の頭一つ分小さな蒼毛の狼獣人を見下ろすシベリアンハスキー種の犬獣人、ゼクト。
「そうそう♪ こう言うもんは楽しまなきゃ損だぜ、レイト!」
とゼクト同様上機嫌の虎獣人のライゼン。
『ハァ…ダメだこいつら…。
お前だけだわ…分かってくれそうなやつ…… ………。』
「……………♪」
と、首が疲れそうなほど上に顔を上げてレイトより遥かに大きい巨漢の熊獣人のジンに同意を促そうとしたが、どうやらずっと無言であったが何やらこの浮ついた雰囲気を楽しんでいるようだった。
表情こそそこまで変わらないが口端が若干上がってるのを確認すると遂に大きなため息をつくレイト。