×白雪姫

□第1章
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「か、が…み?」





辺りを見渡すがそこに鏡の姿はなかった。

あるのは見たことがない景色。

立ち並ぶ建物。





「どこだ…ここ…」




ギュゥウウウグルルルル…




「(そう言えば、昨日の夜から何にも食べてない)」



そんなことをふと思い出し、匂いで釣られるがまま、ある店へと足を運んだ。










「いらっしぇーい!!」



店に入ると元気そうなおじさんと目があった。



「ご注文はー?」

「えっと、ステーキ」



一瞬だけ、おじさんは鋭い目付きになった。



「焼き方は?」

「あ…弱火でじっくりでお願いします」





そのまま奥の部屋に通されたが

なんとも不思議な部屋だった。

無駄に静かだし、機械的な音がする。





「(何だ?この番号は…)」





扉の上に光って表示されている数字の意味を白雪は理解できなかった。





扉が開き、薄暗い空間が現れる。

中には沢山の人、異様な空気が漂っていた。





「(私、すごい場違いな気がするんだ)」

「(そもそも、私はステーキを食べに来んだ。
ステーキが何処にも見当たらないぞ。
と言うか、今から私の方がステーキにされるんじゃ…)」





一人そんな事を考えていると、緑色の豆がこちらに歩いてきた。





「どうぞ、番号札をお取りください」

「は、はぁ…」

「必ず胸に付け、紛失されませぬよう、よろしくお願いいたします」

「…ご、ご丁寧に」





豆はそのまま何処かへ行ってしまった。

すごい綺麗な豆だった。



白雪の受け取った番号は400だった。

とりあえずキリのいい数字だなと思い、
左胸に付けた。



白雪は出来るだけ人目を避けるため、角の方へと移動した。





「君、新顔だなぁ」

「え?」

「よっ!」

「ど、どうも」

「ハンター試験は初めてかい?」

「(ハンター試験ってここが会場!?)ま、まぁ」

「わからない事があればいつでも聞いてくれ!
何たって俺は今まで35回ハンター試験を受けているんだ」

「へぇ〜ベテランですね」

「まぁね、俺はトンパ」

「あ、白雪です」

「シラユキか〜よろしく!あ、お近づきの印にコレあげるよ」





トンパが鞄から出してきたのは缶ジュースだった。





「………(何だこれ)」

「飲まないのかい?」

「え、あぁ…後で飲みます。
お気遣いありがとうございます」

「…そ、そうかい(まさか開けてもいないのに気づいたのか…!?)」





トンパは少し顔色を悪くしながら、
白雪から離れていった。





「……これ、どうやって開けるんだ?」





一人になりずっと缶を転がしたりしながら遊んでいた。

白雪の世界には缶ジュースなどはなかったのだ。

まさかこのジュースに下剤が入ってるなんて白雪は気づきもしないだろう。





 
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