×白雪姫
□第4章
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「やったー!自由行動!!」
明日の8時までの自由時間が飛行船の中で告げられる。
「ゴン!飛行船の中探検しようぜ!」
「うん!シラユキはどうする?」
「私、お風呂入りたいからパス!」
「わかった!じゃあまた後で!」
白雪はクラピカとレオリオと部屋へ行き、荷物を置く。
「腹減った〜」
「!!そうだよ!そうだよレオリオ!」
「な、なんだよ?」
「食堂!風呂の前にご飯だ!!」
「そんなに急がなくったって飯は逃げねぇよ」
「お腹すいてるんだ!昨日から食べてないんだ!」
「昨日から!?お前、よくそれで一次試験通ったな…」
「な!クラピカも行こう!!」
「そうだな」
3人は食堂へ向かった。
「なぁ、クラピカは何でハンターになりたいんだ?」
白雪が苺のムースを口に運びながら聞く。
「え……私は……」
以前、白雪に言ったらどうなるかを考え、自分からは言わないようにはしてきた。
「いや、言いたくないならいいんだぞ。ただ、皆、ちゃんと理由があるからさ」
「私は…ハンターを志望する理由は復讐をするため」
「復讐…?」
「私はクルタ族の生き残りだ、クルタ族は感情が昂ぶると瞳が鮮やかな緋色になるんだ。緋の目というんだが、世界七大美色の1つに数えられ、闇市場において高値で売買されている。私以外の同胞は、この緋の目を狙われて殺された、幻影旅団に」
「…クラピカはその人たちを殺すのか…?」
「あぁ…」
「…クラピカ以外に、生き残りは一人もいないのか?」
「…あぁ」
「…そうか……」
「君は以前言ったね、命は大事だと」
「…命は大事だよ、これは事実だし、何処行っても変わんないと思う」
ケーキをフォークで一口サイズに切り分ける。
「だってさ、その人が死ぬと絶対、誰かが悲しむし、クラピカが居なくなると私は悲しい」
「………」
「でもな、クラピカの言いたいこともわかるんだ、家族が殺されたなら、きっと私も同じ判断をするだろうし、……言ってること矛盾してるんだって自分ではわかってるんだ。ただのエゴなんだ」
「それは普通だ、人間のごく普通の考えだ」
「もし、だぞ。もしかして、だ。私がクラピカの復讐を止めたらクラピカはやめるか?」
「いや、きっと止めないだろうね」
「……だよな…でも、大切な人が誰かを殺すのは見たくないだろ。例え、そのコトを知らなくたってさ、自分の大切な人が悲しむのは自分も悲しくないか?」
「大切、な…人?」
「クラピカは大切な人だ!レオリオも、ゴンもキルアも!」
「……シラユキは、何でハンターになりたいんだ?」
突然、クラピカに聞かれ、考える。
少し悩み、最後のケーキを食べたとき、
「うーん……わからない…」
「お前、わからないのになりたいって…」
レオリオに呆れられるが白雪は続ける。
「私はさ、ある奴に言われてハンター試験を受けにきたんだ。「君は自分の護り方を知る必要がある」とか「たくさんの人間を見てこい」とか、よくわからないこと言われて、気がついたらここにいた?みたいな」
「何だ、そりゃ」
「だから、理由ないというか…でも、今はすごい楽しいぞ!命狙われてる訳じゃないしな!」
「命?」
「あ。いや、たいしたことじゃない……あっ!風呂に行くんだったな!!それじゃあお先に!失礼!」
白雪は言い残すと自分の鞄を鷲掴み、光の速さで食堂を後にした。
「…何で私は逃げたんだ?」
「(別に言っても問題ないような内容じゃないか…。何でだ…条件反射ってやつか…)」
「俺ん家、暗殺家業なんだよね」
聞き覚えのある声がし、脚を止める。
音を立てずに廊下の角から覗くとゴンとキルアの姿があった。
「で、そん中でも俺すげー期待されててさ…でもさ、俺、嫌なんだよね。人にレール引かれる人生ってやつ?自分の将来は自分で決めるって言ったら、親兄弟キレまくりでさ!母親なんか俺がいかに人殺しとして素質があるかとか涙ながらに力説すんだぜ。
ひっでー親だろ?普通ぐれるぜ。結局、喧嘩になって母親の顔面と兄貴の脇腹刺して家おんでてやった!今頃きっと血まなこさ」
……私は、まだ、そっちの方が羨ましいと思ってしまった。
「どうしたんじゃ?お嬢ちゃん?」
「あ。いえ…」
後ろを向くと、ネテロが立っていた。
「愛にも種類があるんだ……」
白雪はそう呟くと別の道から、シャワー室へと向かった。