×白雪姫
□第3章
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「な、なぁ…キルア?」
「……………」
「…キ、キルアくーん?」
「……………」
「キルアさーん?」
「……………」
「(´・ω・`)」
「……………」
「………ク、クラピカーー!!キルアが反抗期なんだー!!」
「んだよ!?」
さっきからこの繰り返しだ。
白雪が話しかけてもキルアが無視。
そして“クラピカ”という言葉を出すと、怒ったように返事をする。
ことの始まりは……、
「どうやら間に合ったようだ」
ヒソカとの遭遇で遅れをとり戻し、試験会場へついた時のことだった。
「レオリオ何処だ?」
「………っ!?」
「どうしたゴン?」
ゴンの目線の先には木にもたれかかったヒソカがいた。
彼はいつも通りの笑顔を崩さず、指で数メートル離れた木を指す。
その木の根元には、見事に顔が腫れ上がったレオリオの姿があった。
「…って…何で俺、こんな怪我してんだ?」
「「え?」」
「どうも記憶がハッキリしなくてよ…」
「これって、戦ってた時よりもよりも立派になって…」
「シラユキッ」
ゴンは口の前で人差し指を立て「シーッ」と言った。
このことは内密にするらしい。
「ゴン」
「キルア!」
「お前よく此処までたどり着い……」
キルアは側にいたクラピカと、背負われている白雪を見た。
「あ、クラピカ、もういいぞ」
キルアの視線に気づきクラピカの背中から降りる。
「ごめん、クラピカ…」
「いいよ、全然」
「いや!よくない!今度は私が背負うからな!」
「え?」
「クラピカがもし、歩けなくなったり、立てなくなったら、今度は私が背負うからな!」
「…んー、女性に背負われるのはちょっと…」
「…不安か?私、力あるぞ?」
「いや、気持ちだけ受け取って置くよ」
「…そうか…でも、何かお返しはするからな!!」
「ありがとう」
そんな二人の様子をキルアは睨みつけるように見ていた。
「なぁ、ゴン」
「?」
「あの二人って、あんなに仲良かったか?」
「?」
「……いや、気にすんな」
「(気にすんなって言われても…)」
「(殺気が滲み出てるぞ…)」
ゴンとクラピカは引きつった笑みを浮べた。
白雪は全くそれに気づかず、単に機嫌が悪いとしか受け取っていなかった。
「キルア!さっきぶりだな!!」
「…………」
超ご機嫌な白雪が超ご機嫌斜めなキルアの元に小走りで行く。
「色々あってクラピカに背負って貰ってたんだ、凄いんだぞ!私を背負って残り走りきったんだ!あんなに細いのに何処にそんな力があるんだろうな!」
「(ハンター試験受けんだから、そんくらい出来て当然だ)」
「あと、気品あって…凄い紳士だったぞ!お返しって言ったら気持ちだけっていいって…かっこよすぎないか!?」
「(それくらい普通だろ)」
「なんか、王子様って感じだよな!」
「…………………だから?」
「……え?」
「……ふーん…そんだけなんだ…」
キルアはそれだけを吐き捨てるように言うと何処かに行ってしまった。
白雪も怒らせてしまったと慌ててキルアの後を追う。
その場に残ったレオリオ、ゴン、クラピカは顔を見合わせる。
ゴンはキルア怒っていることはわかっているのだが、理由は不明だった。
レオリオはクラピカを見ながら「罪深い男だねぇ」などと、年寄り臭いことを言っている。
そんなレオリオをクラピカは睨んでいた。