×白雪姫

□第1章
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どれくらい時間が経ったかわからないが、少しずつ脱落者が出ていった。

白雪は倒れている人を見ては、少し止まり、走り出すの繰り返しをしていた。

その度に、キルアに「おい」の一言をかけられている。



「お前トロいから先に行く」

「えぇ!?だってあの人!」




話も聞かずにキルアは前の列の方へとスケボーで走っていった。





「……と言うか、キルアの乗ってるアレってなんなんだ?」





エレベーターや缶ジュース、スケボーなどは全て白雪の身近にはなかったもの故、頭をかかえていた。










「ん?」



また、脱落者か、と思われるスーツのおじさんがゆるゆると前から後ろの方に流れてきた。

後ろから走っている白雪の足元に彼の鞄が転がって来た。

一度、止まり鞄を手に取り、後ろからおじさんの動きを見ていた。





「………ッざけんなよ…」






おじさんはそう言うと何処からか信じられないほどの力を出し、何かを叫んで走っていった。



「ま、まずい、あの人鞄!」




忘れてる!と言いかけた時、白雪の首根っこを何かに引き上げられた。





「(あれ?私、飛んでー…)」

「お前、何やってんの?」





目の前には私を置いて先へ行った裏切り者のキルア君がいた。




「飛んできた」

「馬鹿、ゴンに釣られたんだよ」

「ゴン?」




首根っこの針金をとり、そのゴンという少年に渡した。

予定では鞄だけだったらしいが、オマケで私が付いてきたらしい。





「俺ゴン」

「私、白雪です」

「シラユキさん?変わった名前だね」

「ドイツから来た」

「ドイツってどんな所?」

「……え…っと私が、いた街は……」

「うん!!」

「………すごく、綺麗なところだよ」












 







80kmを通過し、またペースが上がった。

ゴンとキルアと白雪は先にゴールしたほうがご飯おごりということでスピードを上げた。

白雪は今日、全く食事をしていない。

胃の中は空っぽで悲鳴を上げている。





「あ、あれ、鞄の人じゃ…」





少し上の階段に上半身は裸だが、見覚えのある後ろ姿があった。





「お先にクラピカ!」

「おっさん、先行くぜ!」

「おっさんじゃねぇ!俺はまだお前らと同じ十代だ!!」





ピシャーーーンッ!!





「え!?」

「うそ!?」

「年齢詐欺だ!!」

「詐欺じゃねぇ!事実だ!って…誰だ?」

「レオリオの鞄を拾ってくれたんだよ」

「そうなのか!ありがとな!…えっと」

「白雪」

「シラユキか‼俺はレオリオ、こっちがクラピカ」





レオリオの左を走っている美形を指差す。

美形と言うか美形を超えた人。

「性別の境目」と言う言葉が白雪の頭に浮かんだ。





「……おキレイですね」

「……プッ」

「おい、レオリオ笑うな。…私はクラピカ。これでも男だ」

「………………え?」





こんな綺麗な男の人に出会ったコトって……あったな、そう言えば…。

白雪の脳裏に死体愛好家の王子の顔が過る。

性格はよろしくなかったが、顔はよかったらしい。





「先行くぜ」

「あっ、キルア待って!」





3人は見えないゴールへ急ぐ。


 
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