×白雪姫

□第1章
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「俺のペースについてくるなんて、結構やるじゃん」

「そう?」





えへへと笑うゴンを一見、キルアは続ける。





「って言うか皆のペースが遅いんだな」

「嫌、遅くはないだろ」

「嫌、遅いね」





走っている右側にリタイアした人が転がっているのを見て、白雪は否定を入れたが、キルアに断定された。





「はぁーあ…こんなんじゃハンター試験、楽勝かもな、つまんねぇの」

「なぁ、キルアは何でハンターになりたいんだ?」

「あ、それ俺も思った!」

「俺?別にハンターになんかなりたくないよ」

「「え?」」

「物凄い難関だって言われてるから、面白そうだと思っただけさ。けど、拍子抜けだな。ゴン達は?」





キルアは白雪とゴンに話を振る。





「俺はさ、親父がハンターなんだ」

「すごいな、それ」

「でしょ!?で、俺も親父みたいなハンターになりたいと思って」

「ふーん、親父ってどんなハンター?」

「わかんない」

「っははは、お前それじゃあ、変じゃん。」

「そう?」

「だって、親父みたいになりたいのに、親父のことわかんないなんてさ」





白雪も内心、確かにとキルアと同意見だった。



まず、ゴンの親ってどんな人だ?

大食いとか!?でも…まさか、人外…。

いや、それはないな。



頭の中でゴンのお父さん像を思い浮かべるが、何度やっても消えていった。





「俺、生まれてすぐ“ミトさん”に育てられたから、親父は写真でしかしらないんだ」

「ミトさんって誰だ?」

「ミト叔母さん」

「はぁ」

「親父も12才の時にハンター試験受けたんだってさ、合格してハンターになって、そして、島を出ていった。俺を捨ててまで夢中になった、ハンターってどんなんだろうって!」

「ふーん…白雪は?」

「そんな訳ない………」

「はぁ?」

「親父も、ってゴン君今12才なのか!?」

「え、うん、そうだけど」

「身長高いんだな………」





何で12才なのにこんなに身長高いんだ!?

私でもそんなになかったぞ!!




「あっ」

「ん?」





キルアの見る先を見た。

暗い一本の通路の先には光が見える。



3人は一斉にスピードを上げる。





「(これに勝てば、ご飯!!!!!!)」





「「「ゴーール!!!!!!」」」




「やった!俺の勝ち!」

「違うぞ!私だ!だから、ご飯」

「俺だって!」

「嫌、ご飯!!」

「お前どんだけ飯に執念あるんだよ!」

「私、昨日の昼から何も食べてないんだ!!だから、おごれ!!」

「お前は奢る側だ!」

「キルアが奢るんでしょ?」

「ゴンも奢るんだよ!」

「何で!?俺勝ったじゃん!」

「私だ!」

「いや、俺だ!」

「ねぇ、どっちが早かった?」




ゴンは試験官のサトツに聞いた。





「私の目には同着に見えましたねぇ」

「同…着…」





クラッ…





「シラユキ!?」

「シラユキさん!?」





白雪は目眩をおこし、後ろへ倒れそうになったが、キルアが腕を引き、支える。





「お前、無理してたんじゃん」

「いや、光に弱いだけだ」

「赤いな」

「何がだ?」

「目だよ、さっき暗くて気付かなかった」

「あ、あぁ…」

「後、白いし」

「………ご、ごめん」

「綺麗だな」

「……え?」

「何もねぇよ」





キルアは白雪の腕を放し、ゴンと話しに戻る。

白雪は出口付近に座り休むことにした。





“綺麗だな”





あれは本心なのだろうか?




 
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