×白雪姫

□第4章
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「(愛にも種類があるんだな)」





鏡が言っていたことが少し理解出来た気がする。

母様が私に対して向ける愛を今なら理解できる気がする。

ただ、それを受け入れるのが少しこわい。

それは現実であり、事実であることには何の変わりもない。

ただ、それが白雪が欲っしている愛とは違う。



キルアの家は狂った愛、狂愛なのだろう。

それでも、愛という形はある。

考えてみれば、確かに、実の母から愛など貰ったことなどない。





「なんだ…、ただの…一方的な愛でしかなかったんだ」





その声はシャワーの音によってかき消された。






























――――――……





「あ。」





前方からキルアが歩いてきた。

風呂からあがった白雪は彼が今日ずっと、機嫌が悪いのを思い出した。





「おい、キルア!」

「………」

「お前、今日ずっと機嫌悪いだろ!」

「………」

「何でだ!」





相手には聞こえてるはず、しかし、無視ときた。

そして、そのまま白雪の隣を通りすぎようとする。





「おい、キルア。私が何かし………っゔ!?」

「……シラユキ?」





ただ、通りすぎただけ。

何もせず通り過ぎただけなのに白雪は息を詰まらせたような声をあげた。

その声にゆっくり振り向くが、白雪に変わった様子はない。

騙されたのかと思い、歩き出そうとすると





「おい、餓鬼。誰を無視してる」

「……」

「男、2人殺っても、まだ、ご機嫌斜めか?」

「…!?」

「フッ」

「お前、シラユキなのか…」





自分の目の前に立っているのは白雪だ。

だが、雰囲気が違う。

まるで別人。





「誰だ」

「お前が良く知ってるんじゃないのか」

「……」

「私は白雪、白雪姫だ」

「……二重人格」

「そうとも言う、ただ私は、一つの器に二つ入ってるだけだ」

「…どういうことだ」

「そろそろか…おい餓鬼、その左手臭うぞ洗っておけ」

「待て、お前は」

「キルア?」

「は、?」

「お前、何で怒ってるんだ!?」





始めに戻った。





「……シラユキ」

「……は、はい?」

「……」

「……」

「………」

「………」

「…………」

「……キルア?…あのな、詳しいことよくわからないけど、キルアはクラピカのことが好、好きなんだな!」

「…は?」

「ご、ごめんな…そうとも知らずに…嫉妬ってやつなんだろ?悪いな、私なんかが間に入って…大丈夫だ!これからは応援するからな!」

「…ちょっと待て…お前はあれか?俺が怒ってたのは、俺がクラピカのことが好きで、その間に割って入ってきたのがシラユキとでも言いたい訳か?」

「違うのか?」

「違うも何も…俺に男を好きになる趣味ねぇよ!!!!!!」

「え!?そうなのか!?だから、てっきり言い出せないのかと思って…」

「それ、お前の勝手な妄想だろ!」





二人は言いたいことを言い肩を上下させ、呼吸する。



 
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