×白雪姫
□第5章
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「やっとついた…のか?」
あの後、落ちるという作業を只ひたすらやり続け、丸い大きな場所に辿りついた。
そこから一本長めの廊下が続いていた。
「ゴールか!?」
白雪は走り出し、自動で壁が開く。
『第3号 400番 シラユキ。12時間3分』
アナウンスの声がこだまする。
白雪にはアナウンスの音なんかより丁度、向かいに座っているヒソカが目に入った。
「(ゲッ…あいつ…)」
『第4号 294番 ハンゾー。12時間3分』
白雪と数秒違いでテンションの高いスキンヘッドの男が入ってきた。
1号のつもりだったが、白雪含め、既に3人が先着だった為、落ち込んでいた。
「ゴン達はまだなのか…」
白雪は大人しく待つことにし、壁にもたれ座る。
ヒソカの正面に座ってる為、嫌でも目に入るのを必死に視界に入らないようにする。
「(めっちゃ見られてる!!)」
「何だい、知り合いかい?ヒソカ?」
「うん、ちょっとね♥」
「(何がちょっとだ!)」
白雪のオーラはピリピリしているのを見てヒソカは楽しんでいた。
そして、ヒソカの側に立っている男。
ギタラクル、彼とも目があった。
「(あいつ、頭に針刺さってるぞ…痛くないのか…?)」
ギタラクルは白雪に向かって手をあげ、指を曲げる。
白雪を呼んでいた。
白雪は腰を上げ、ゆっくりとヒソカ達の元へ歩いていく。
「私に何か用か?」
「いや、ヒソカが呼んで欲しいって言ったから」
「言ってないよ♠」
「嘘だよ、君に興味があるから呼んだんだ」
「私に興味?」
「うん、君誰?」
「お前こそ誰なんだ」
「僕はギタラクル」
「嘘だ」
「どうして?」
「……経験」
「ふーん、本名はイルミ、イルミ=ゾルディック」
「長い名前だな」
「普通だと思うよ、君は?」
「私はシラユキ」
「何それ、偽名?」
「本名だ!」
もう、戻ろうと脚を運びかける。
「ねぇ、君は誰?」
「今言ったばかりだろ!」
「違うよ、今君が必死に押さえつけてる奴だよ」
「はぁ?」
「無意識?違うね、気付いてるでしょ。もう一人、血の匂いに反応する奴」
「………」
白雪はギタラクル、いや、イルミと距離を開ける。
なんで知ってる、私(コイツ)のこと…。
「お前に話したってそれが吉に回るとは限らない」
「うーん…それもそうだね」
これ以上この男といたくない。
本能的にそれを感じていた。
白雪は真っ正面ではなく、少し反れた場所へと座った。
「暇だ………」
「(ゴン達、大丈夫かなぁ…)」