×白雪姫

□第5章
3ページ/5ページ




「それって何て武器だ?」

「はい?」





暇だったので鞄の中身を並べていた。

そこには異様な数の武器がこれでもか、と思う程入っていた。

回転式拳銃(リボルバー)や、散弾銃(ショットガン)など見ても意味のわからないものが多かった。

そんな中、スキンヘッドの男が話しかけてきた。

名前はハンゾーというらしい。





「これは手榴弾…だと思う」

「へぇ…詳しいんだな!」

「詳しい訳じゃない」

「そう言えば、お前他に4人一緒にチーム組んでなかったか?」

「…はぐれたんだ」

「そりゃ、災難だな」

「私があの時、足場に注意していたらこんなことにはならなかったのに…」

「お前ら幼馴染か?」

「違う、ハンター試験で会ったんだ」

「すげぇ仲良さげじゃん」

「そ、そうか?」

「でも、今頃もっと親睦(シンボク)深めてたりして」

「……………」

「ジョ、ジョーダンだって」

「私が一方的に好きなのかもしれない」

「ん?」

「私がゴン達を一方的に好きなだけで向こうはなんとも思ってないかもしれない」

「何でそう思うんだ?」

「…わからない」

「んー……」





ハンゾーは座り直し、真剣に白雪と向かい合う。





「相手がどう思ってようと自分は好きなんだからいいんじゃねぇか?」

「?」

「好きって言われて嫌な奴ってほとんどいないと思うぜ」

「………いる」

「なら、聞けばいいじゃねぇか」

「聞けるわけない」

「どうしてだ?」

「だって、自分がどう思われてるかとか、受け入れるのが恐い…」

「それは悪かったときを想定した時だろ?俺が見る限りではお前ら凄い仲いいって断定出来る」

「……もし、外れてたら針千本飲めよ」

「怖ぇな」

「なぁ、ハンゾー」

「他にも相談していいか……?」

「………」





ハンゾーは一瞬驚いた顔をしたが、すぐいつものように笑い、



「何でも吐き出しちまえ!」



なんて言った。



喉の奥がキュッと締まる。

痛い。

鼻もツーンとして、あっ、とふと思い出す。



今、泣きそうなんだ。









――――――………



「母親に4回も殺されそうになった!?」

「うん、でも小人のおかげで助かったんだ」

「マジで白雪姫だな!」

「クラピカから聞いた。おとぎ話なんだろ?」

「あぁ、白雪姫の未来編みたいだな」

「私、また、殺されそうになってるんだ」

「追われてんのか?」

「いや、追われてはないらしい」

「らしいって誰情報だよそれ」

「鏡」

「今度は喋る鏡か?」

「鏡にドイツからこの世界に連れてこられたんだ」

「ドイツ?何処だそこ?」

「ドイツだぞ、普通知ってるだろドイツだ」

「いや、ドイツなんて国名聞いたことねぇよ」

「は?」





ふと鏡の言葉が頭を過ぎる。



「(“君が知らない場所”。そこなら“追っ手もこない”」



もしかして、ここは、全くの別世界?





「おい、ハンゾー。この世界の共通語は何だ?」

「共通語?ハンター語だろ?」

「ハンター語?」



白雪は数時間前に見たプレートのことを思い出した。

読めはしなかったが、きっとあれが多分ハンター語。





「頭が追いつかない」





それが本音だった。





「………とりあえず、今生きてるんだし、楽しく考えていたほうがいいんじゃねぇか?」

「お前みたいにか?」

「俺は元からこうだ」

「……二重人格の場合はどうすればいいんだ?」

「二重人格なのか?」

「多分」

「そうだな…二つ合わせるとか」

「………初めて聞いた、そんな考え」

「そうか?」

「お前変わってると思う」





ハンゾーと少しずつ仲良くなっていっている気がする。



 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ