×白雪姫
□第8章
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「大体お前はなぁ!」
「何だそれは!?自慢か!?自慢でもしたいのか!?」
「この白髪!!」
「チビッ!」
「白髪!!」
「チビッ!!」
先程からずっと口で言い争いをしながら、空中で蹴り合ったりの攻防戦を繰り広げている。
まるで子供の喧嘩だが、一応、暗殺一家のエリートとの試合なので、そんな生温いものじゃない。
「速ぇ…シラユキってこんなに強ぇのか?」
「…考えてみれば、私達はシラユキのことを何も知らないんじゃないか?」
「何?」
「何処出身なのか、何故あんなに強いのか、シラユキが何故あんなにも、武器を使いこなせているのか」
「…俺たちが知ってるのって、ほんの少しだな」
「俺の攻撃よく避けれるな、ゾルディック家なんだけど」
「ゾルディック?」
「お前知らねぇの?世間知らずだな」
「こっちは王宮育ちだぁぁああ!!!」
そういい、また試合が再開する。
これの繰り返しだった。
「(……ゾルディックって何処かで聞いたこと……)」
キルアの攻撃を空中でかわした時だった。
受験者の中の一人の白雪が最も苦手としている男と目が合った。
「『本名はイルミ、イルミ=ゾルディック』」
ギタラクルもゾルディックというファミリーネームだった。
一瞬、兄弟じゃないだろうと疑った。
しかし、イルミが出してる危険と感じさせるオーラと、キルアが時折、出すオーラが似ているのだ。
「『母親の顔面と兄貴の脇腹刺して家おんでてやった』」
「(まさか、横腹刺した兄貴って…)」
「キルア、お前の兄弟に……イルミって奴いるか?」
「兄貴のこと?いるよ、イル兄」
「私の負けでいいから」
「何、いきなり」
「私の負けでいいから!!」
もし、この試合でキルアが負ければ、この後、戦うのはキルアの兄のイルミである。
イルミがもし、復讐のためにハンター試験を受けに来ているならば白雪が負け、キルアが勝てばいい…。
そう考えたが、今までにだって、いくらでも復讐するチャンスがあったはずなのに、それをしなかった。
つまり、イルミの目的は復讐ではない。
もう一つ思い浮かぶのは、家を出ていったキルアを連れ戻すため。
キルアの家のことだから、血眼になって連れ戻そうとしてても、全くおかしくない。
「あれは気づいちゃったね♢イルミ♠」
「うん、別にいいよ」
「まぁ、そのつもりで名前教えたんだもんね♡」
「気付くの結構遅かったけどね」
イルミは目を細めながら言った。
「次、本気でいくからな」
「いいぜ、来い」
キルアと白雪は同時に床を蹴った。