×白雪姫

□第8章
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「可愛いのは最初だけ、いつか必ず飽きて世話が面倒になるんだ」





その言葉にレオリオが前へ一歩出て、二人に言った。



「キルア、お前の兄貴だろうが言わせてもらうぜ。そいつは馬鹿野郎で下衆野郎だ!聞く耳持つな!人を犬っころみたいにしやがって、ゴンは犬じゃねぇぞ!いつもの調子でさっさとぶっ飛ばして、合格しちまえ!友達になりたいだと?寝ぼけんな!お前らとっくにダチ同士だろ!?少なくともゴンはそう思ってるはずだぜ…シラユキも何か言ってやれ」

「返事は試合が終わった後でいくらでも言ってやる。早く終わらせろ…針人間の顔は見たくないからな」





もう本当は答えは決まっていた。

それよりも今はキルアとの試合が先だ。





「え?そうなの?まいったな…あっちは友達のつもりなのか…。んー…」





そしてイルミは人差し指を立て、一つの案にたどり着く。





「よし、ゴンを殺そう

「!?」

「殺し屋に友達なんていらない。邪魔なだけだから」





イルミは手に針を構え、会場の扉の方へと歩く。

それを審判が止めるのだが、針を刺され、ゴンの居場所を吐いてしまう。

審判の顔は変形し、倒れ込むが、イルミは気にも止めず扉のほうへ足を進める。



しかし、それを阻止したのはレオリオ、クラピカ、ハンゾーだった。





「参ったなぁ。さっきも言ったけど仕事の関係上、俺は資格が必要なんだよね。ここで彼らを殺しちゃったら俺が落ちて自動的にキルが合格しちゃうね…。あっ、いっけない。それはゴンを殺っても一緒か…。うーん…。そうだ!まず合格してからゴンを殺そう」

「!?」

「それなら仮にここの全員を殺しても俺の合格が取り消されることはないよね」





そしてイルミはゆっくりと背を向けてたキルアの方へ向き直る。





「俺と戦って勝たないとゴンを助けられない。友達の為に俺と戦えるかい?出来ないだろ。何故ならお前は友達なんかより、今この場で俺を倒せるか倒せないかの方が大事だから」

「……っ」

「そして、もうお前の中で答えは出ている。俺の力では兄貴を倒せない。勝ち目のない相手とは戦うな。俺が口を酸っぱくして教えたよね」





イルミは片腕を伸ばしキルアに触れようとする。

キルアも一歩後ろへ下がろうとしたが





「動くな。少しでも動いたら戦い開始の合図とみなす。同じくお前と俺の体が触れた瞬間から戦い開始とする。止める方法は一つだけ。わかるな?だが、忘れるなお前が俺と戦わなければ大事なゴンが死ぬことになるよ」





それでも少しずつイルミとキルアの距離が縮まっていく。





「(無理、だな……私だったら確実に負けを認めてる)」





白雪の考え通り、案の定キルアは自分の負けを宣言した。





「あぁ、よかった。これで戦闘解除だね」





白雪は唇をきつく噛み締めていたせいで端が切れ、口内に鉄の味が広がった。

手で拭った時、視界の隅に殺気を飛ばすヒソカの姿が映った。





「(ヒソカはゴンのこと気に入ってるみたいだから、ゴンの安全は保証出来るな)」










試合が終わってからずっと、キルアは抜け殻のようになっていた。

レオリオが話しかけても声が聞こえてないようで、まるで別人だった。

そして、最後の試合。

ボドロ対レオリオの試合が行われる時、白雪はまたあの感覚に襲われた。





「……クラピカ……」

「どうした?シラユキ?」

「何かあったら、止めてくれ」

「どういう意味…」





試合開始になった途端、白雪はボドロに向かって走った。

そして会場に生々しい音が響いた。





 
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