×白雪姫

□第9章
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「銃の…っ使い方も…ズッ…鏡に教わった」

「だからか…細いのに強いってビックリしたぜ」

「あ、…ッあとな。
こっちに、来て、ビックリするくらい…力がついた。
いきなり凄い高さにまでジャンプ出来るようになったし…
キルアと戦ったときに、確信したことなんだけど…」





「キルアで思い出したけど、シラユキって二重人格なの?」

「あ、それも話す」





腕で涙を拭い、また話しに戻る。





「ゴンに言ったよな、料理すると人格が変わるって…」

「うん」

「あれ半分嘘なんだ」

「半分嘘?」


「うーん…難しい話しになるかなぁ…。

知ってると思うけど、猟師のおじさんが私を森に置いていった時に、
本当に殺されると思って、死にたくないって気持ちが大きくなりすぎて
私から“死”って言うものが離れたんだ。

それがもう一人の私。ついてこれてる?」


「まぁまぁ?」


「うん、じゃあ続ける。

もう一人の私は他人の死に反応することが多い。
今回のボドロさんの件がそうだ。
匂いってやつ?コイツ死ぬな、って思って…
そしたらもう一人の私と入れ替わった。
その後はもう一人の私が行動してこんな怪我負いましたって感じだ。

二重人格って言うんだろうけど、私の場合は治すことが出来る。
ただ、私が死っていうのを受け入れればいいんだ。
ただ、いつも身近にあるよくらいの
程度で置いとけばいいんだが、トラウマがあるからな」


「うーん………」


「ゴンわかるか?」


「いつもすぐ側にいるのに置いとけないの?」


「あー…私が拒否してるって意味だ。
だから、今、私は不死身って奴だ。
傷がすぐ治る訳じゃないけど、絶対に死なないって奴?
だから毒リンゴを喉に詰まらせたときも、
縄で首を絞められたときも死ななかった」


「そう言われると、おとぎ話の白雪姫がリアルに納得が行くんだよな…」


「確かに…」










「私、ゴンとレオリオとクラピカに会えて良かった」









ありのままの自分を受け入れてくれる。

そんな彼らに対し、口から素直に溢れた感謝の言葉。





「どうしたんだ、いきなり」


「俺もシラユキに会えて嬉しいよ!」


「私もゴンと同じだ」


「俺だってなぁ!
……何かこれが最後の別れみたいじゃねぇか」





レオリオの言葉に一同、あっ。と声を揃える。

それが可笑しくて、しばらくの沈黙の後、
一斉に吹き出す。



こんなに笑ったのは久しぶりだ。

こんな時間が一生続けばいいと思ってしまう。



しかし、ハンター試験が終わった今、
それは叶いそうもない想いだった。





「これから皆はどうするんだ?」

「私は雇い主を捜すよ」

「俺は医者になるために勉強するんだ」

「レオリオって医者になりたくてハンターになったのか?」

「まぁな」

「じゃあ、私は怪我したらレオリオの所に行けばいいんだな」

「怪我をしないようにしろ」

「ゴンはどうするんだ?」

「俺は…キルアを連れ戻しに行く」

「……連れてってください!ボス!」

「ボス?」

「私もあの猫は一発殴ってやりたいと思っていたところだ!」

「それ、イルミにも言ってたよね」





確かに言っていた記憶があり、苦笑いを浮かべる。

そして、シラユキ自身も今後どう動くかは決まっていた。

キルア自身が望みもしない人殺しを止めさせに行く。

シラユキはゴンと一緒にキルアを連れ戻しに行くことを決定した。



 
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