×白雪姫

□第9章
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「依存してるって言うのか、それ」





いい思い出には誰だってすがりつきたいモノ。
と、クラピカは言った。





「大人だな、クラピカは」





難しい考えを簡単に言葉にして、
スラスラと流れ出てくるように喋る。


目の前にいるのは、
まるで、若い政治家のように見えた。


そして、その空気を壊すように
病室の扉が勢い良く開いた。





「シラユキ!呼んできたぜ」


「お前のような男をムードブレイカーと呼ぶ」


「?何だって?」


「別にー」






何のことかは全くわからずに
レオリオは首を傾げる。


流石だが、医者は空気を察し、
お邪魔かな?なんて言った。


全然、問題ないです。




その後、医師から
今後の過ごし方について色々と話してもらった。


シラユキの容態は命に関わるものじゃなかったのだが、
骨にヒビが入っていた。


それをシラユキは数日という短期間で
骨を修復してしまったのだ。


医者はハンターって恐い
(主に自己治癒力が高すぎて)
と、顔を青くしながら呟いていた。


今後、気をつけておくことを耳にタコが出来るのではないかと
散々聞かされ、やっと、この白い空間から出られるときが来た。




綺麗な看護婦さんから散々喋り倒した医者。


自分に関わった人たちがシラユキ一行を見送った。






「イルミってまだいるのか?」


「あぁ、キルアの居場所を聞き出す気か?」


「当たり前だ。
パッパっと聞いて、パッパっと訪ねるんだ」


「そんな簡単に言う訳ねぇだろ」


「言ってもらう」


「お前、キルアの兄貴あの目で見たろ?
あんな奴といると本気で殺されるぜ」


「大丈夫だと思う。
もし、私が殺されるんだったら、
ゴンを殺しに行こうとしたときに私も殺してた筈だ」


「そ、そうだけどよ」






試合の最中にシラユキを殺さなかったのは、
キルアとシラユキは「友達同士」というのを
断定してはいなかったから。


それか、他にイルミがシラユキに
何か個人的な用があったのかもしれない。



どうせ後で捜しに行くのだから、
その時本人に直接聞けばいいだろう。




そして病院から差ほど離れていないホテルに到着すると、
白雪はいきなり走り出した。



医者からは、しばらくは安静にしておけと
散々言われていることを全く忘れていた。


それを止めるようにクラピカ、レオリオは白雪にやめるように言ったのだが
、白雪の姿はあっという間に見えなくなった。


二人はため息をつき、
まだカードの説明を受けているであろうゴンを待つことにした。






**********






数分走った所に捜索中の彼の姿が見えた。


外の噴水の近くに腰を下ろし、
もう一人、誰かと喋っているようだ。


とりあえず、一歩づつ近づいてみる。


二人はその気配に気づき、
白雪を目でとらえる。






「やあ♥」





何となく予想はしていた。


イルミと喋る人なんて
コイツ一人しかいないということ。


語尾にハートなんかを付けてくる苦手というより、
生理的に受け付けない奴“ヒソカ”だ。


この二人は仲が良いのか、
友好的には見えないが、
しょっちゅう一緒にいるのを見る。


別に聞かれて困る話しでもないので
ヒソカに席を外してもらう必要もないが…。





「キミ、病院に連行されていたけど、
一時帰宅ってやつかな♦」





一体、その話を何処から入手したのか、
という疑問が残ったが、
メンチから逃げる際に結構、暴れたのが原因
と考えることにした。


一時帰宅と思われても仕方がない。


今は入院患者の服を着ているのだから。






「一時帰宅じゃない退院だ。傷はもう治った」


「骨折れてるって聞いたんだけど♣」


「もうくっついた」


「ふーん…♠
彼でもそんなに早く治らないのにねぇ♡」






ヒソカはそう言って、
噴水の縁に座っているイルミに視線を戻す。


それに釣られ、白雪もイルミを見る。





「これが普通だよ、
数日で治るほうが不思議だって」


「イルミも折れてるのか?」


「うん、ゴンに折られた」


「ゴンに?いつ?」


「君が病院を抜け出して
会場に戻ってくるちょっと前」





イルミも抜け出したことを知っているとなると、
このホテル内にいる受験者全員が
この話を耳にしている可能性が高くなった。


割と恥ずかしい話だが、
今はそんなことよりイルミに話し聞くことが先だ。





「イルミ、キ」

「“キルアの居場所を教えてくれ”って言うの?」

「当たり」

「教えないよ」

「言ってよ」

「嫌だね」

「言えよ、おい」

「口悪いなぁ」




口が悪くても結構。


今はキルアの居場所を
吐いてもらわなければいけない。





「ねぇ、どうしてそこまでして
キルに会いたい訳?」


「会ってしなきゃいけないことがある」


「それは何?」


「喧嘩して仲直りしてない。
あと、直接言わなきゃいけないこともある」


「それって、最終試験のときのやつ?」


「それもある」


「シラユキ、君はキルアと
友達になる気でいるの?」





はい、その通りです。
なんて言ったら、自分が殺されるのではないか
という一つの答えが脳裏に過った。

しかし、そんなことを考えてるのがお見通しなのか、
イルミは別に殺しはしないよと呟く。





「何でだ?」





矛盾している。

ゴンとキルアが友達なら
イルミは本気でゴンを殺しに行こうとした。

しかし、相手がゴンではなく
白雪の場合だと対応が違うのだ。


その理由を聞くと簡単な答えが返ってきた。





  
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